フィラリアの予防シーズンといえば、地域で差がありますが、一般的には毎年春〜秋が多いですね!
もう10月に入りましたが、まだ全国的にフィラリア予防は必要ですので、飼い主の皆さんも予防を続けていらっしゃることと思います。
今日は、フィラリアの基礎知識と、これから来る冬にむけて、一般的にはフィラリア予防のシーズンと言われていない「冬」のフィラリア予防についてもお話ししたいと思います。
ワンちゃん・猫ちゃんの飼い主の皆さんは、ある程度フィラリアのことをご存知かもしれませんが、まずはフィラリアの基礎知識をおさらいしてみましょう。
フィラリアの成虫は犬の体内で幼虫を産み、幼虫は血液中に寄生します。この血を蚊が吸うと、蚊の体内で幼虫が成長し、感染力を獲得します。
この感染能力を持った幼虫を保有している蚊に刺されると、感染幼虫が犬の体内(皮下や筋肉の中)でさらに3ヶ月かけて成長し、その後、血液の流れに乗って心臓に向かいます。約半年で幼虫が成虫になって、心臓や肺動脈に住みつきます。
感染しても、症状が現れるのはしばらく時間がたってからです。
多くは数年が経過してから症状が現れ、初期にはほとんど症状を示しません。
フィラリアへの感染リスクは予防を行わないとどれくらいなのか、ご存知でしょうか?
実は蚊のいるシーズンをフィラリア予防なしで3回過ごした犬では100%フィラリアに感染していると言います。これは、結構な確率だと思いませんか?
お薬を飲ませたつもりで実はこっそり吐き出していたり、きちんと予防のシーズンを理解せずに中途半端な投薬で終わってしまう、これが何回も繰り返されればフィラリア症を発症する可能性も高まってしまいます。
フィラリアは100%お薬で予防できる病気ですが、このお薬を飲む場合にも注意が必要です。フィラリアの予防薬は獣医師の処方箋が必要な薬なのですが、これはすでにフィラリアに感染しているわんちゃんに予防薬を飲ませることで、死んだ幼虫が心臓に詰まってしまったり、死んだ虫のアレルギー物質に反応して、わんちゃんが死亡してしまう可能性があるからです。
そのため予防薬の処方前には血液を少しとって、血液の中に幼虫が潜んでいないか?感染時に見られる免疫反応が起こっていないか?などを確認し、検査の結果が陰性であればフィラリアの予防ができます。そのため、去年投与し忘れたものが残っているから、とご自身の判断で投薬を行うのは、絶対に避けるべきだといえます。
また、蚊取り線香や蚊よけのグッズ(扇風機タイプのものなど)では蚊の飛来を抑制できても、蚊に刺されるのを完全に防ぐことは不可能です。
では蚊がいなくなる秋〜冬はフィラリアの予防を行わなくても大丈夫なのか?
これは、なんとも言えないですが、100%フィラリアにかからないと言うことは言えません。
蚊は14度以上の気温が保たれていれば吸血活動をします。そのため、お家の中や駅、お店など、冬でも過ごしやすい気温で過ごせる環境が非常に多いので、最近では冬でも蚊が活動しています.
ご存知ない方も多いのですが、フィラリアの予防薬とは「フィラリアに感染させないためのお薬」というわけではなく「フィラリアの幼虫を体内で成長させないお薬」つまり駆虫薬なのです。蚊の活動が盛んになるシーズンとフィラリアの予防シーズンは1ヶ月ほどずれて設定されており、蚊がいなくなってから1ヶ月後まで飲ませることになっています。
これは上でお話しした蚊の成長サイクルを定期的な検査と駆虫で食い止め、体内で成長・増殖して症状が現れないようにするには、蚊がいなくなるまで予防薬を飲まなければ、蚊の成長サイクルが密かに進行してしまう可能性が高いからなんです。
こういった「予防」の仕組みを考えると、ご自宅の周辺などで、冬場にも蚊が飛んでいるのを見たことがある場合や温かい気候の地域に旅行に行く予定がある場合にはフィラリアの予防を冬も継続した方が良いでしょう。
最近ではノミやダニなどのが体表に寄生する寄生虫なども一緒に駆虫できるタイプのフィラリア予防薬も開発されています。また、おやつ感覚であげることができるチュアブルタイプのものなども出ています。フィラリアだけでなく、お腹に寄生する虫や体表に寄生する虫などを一緒に駆虫するタイプのもので寄生虫による病気を予防することはわんちゃん本人だけでなく、一緒に遊ぶ飼い主様や他のわんちゃんや猫ちゃんにとっての安全にもつながりますよね。
フィラリア症を発症させないためには、第一に薬をきちんと蚊がいなくなった後の1ヶ月間も投与し、投薬ペースはしっかり守ることです。またお住いの環境をチェックするのも重要でしょう。多くの時間を過ごすのはお家の中、あるいは外です。室内犬でもお散歩時には外出しますが、こういった外の環境でどれくらいの時間を過ごしているのか、周りには蚊の発生しやすい環境(水たまりや湿地など)はどれくらいあるかなどを考えて、使用する予防薬の効き目の広さや期間を調整しなければ完璧な予防とは言えません。
しかし、わんちゃんや猫ちゃんの体調や年齢によってもお薬の利用は調整すべきなので、冬場の予防薬投与についてはかかりつけの獣医さんに相談するのが一番でしょう。
せっかく病院でお薬をもらっても、投与期間が短かくてフィラリア症を発症してしまったらとっても悲しいし悔しいですよね。
大切なわんちゃん・猫ちゃんがフィラリアのせいで命の危険にさらされることがないように、投薬期間などを獣医さんと相談しつつ、しっかり対策していきましょう!
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