【まとめ】犬の皮膚病|症状・治療・予防方法

By | 2017年8月29日
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こんにちは、オクスリラボです。

今回は、メジャーな皮膚病のまとめです!

皮膚病は最もペットがかかりやすい病気の一つとされています。

ですが、皮膚病といっても、種類がたくさんあってよくわからないという方、多いのではないでしょうか。

そんなワンちゃんの飼い主の方、必見です!

知っているのと知らないのでは大違い。身近に潜んでいる皮膚病から愛犬を守るため、皮膚病について学んでおきましょう!

PK_BLOG-2017-07-31

 

犬のメジャーな皮膚病 目次
▸細菌による皮膚病
 »膿皮症

▸真菌(かび)による皮膚病
 »皮膚糸状菌症
 »マラセチア性皮膚炎

▸寄生虫による皮膚病
 »疥癬
 »ツメダニ症
 »毛包虫症(アカラス)

▸アレルギー性皮膚炎
 »アレルギー性皮膚炎(アトピー)
 »アレルギー性皮膚炎(食物性)

 

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細菌による皮膚病

 

膿皮症

・概要:
犬の皮膚は人間と同様に常在菌と言われる菌が存在しています。これらの菌は害にならず、却って、悪い菌が増えすぎないことでバランスをとって皮膚を守っています。しかし、体調の変化によって皮膚のバリア機能(皮膚が外敵となる菌から守る機能)が低下してしまったことをきっかけに、常在菌が増え過ぎて発症します。例えば、アレルギー体質であったり、ノミの感染があったり、あるいは甲状腺の問題があったりした結果、二次的に発症することが多いと言われています。子犬の場合は、抵抗力がまだ弱く、特に陰部などの尿汚れをきっかけに発症することがあります。原因菌にはブドウ球菌が多いと言われています。

・症状:
顔や脇、陰部などの発疹、四肢の指の間の腫れ、かゆみ、発赤、脱毛、フケ、などがあります。

・かかりやすい犬種:
年齢や犬種に関係なく発症する可能性があります。

・治療方法・治療薬:
治療は症状がほぼ全身に広がっていることが殆どなので、原因とされている菌を同定してから、それに効果のある抗生物質を内服します。また、内服薬で皮膚の痛々しい状態が落ち着いた時点で補助的にシャンプーを行い、皮膚のバリア機能を高めるための薬用スキンローションなどを使います。2〜3週間で症状は落ち着き、1ヶ月でほぼ完治することが多いです。

・予防方法:
普段から環境と皮膚の清潔を保つことが重要です。そして、ノミやダニの駆虫をしっかり行って皮膚を傷つけることを予防します。シャンプーは皮膚がベタベタしている、臭い、などがあればその度にしっかりと最低 5分以上マッサージをして洗浄、その後の乾燥もタオルドライとドライヤーをかなり遠くからそっと当てる、などのケアをしてあげます。シャンプーの頻度が多すぎても却って皮膚の常在菌バランスを崩しますから、回数にも気をつけましょう。また、薬用ローション(セラミド入りなど)を塗布することで更に皮膚の状態は元気になります。さらに、フードの原材料をしっかり確認して食物アレルギーに注意をする、毎年の血液検査により皮膚病を二次的に起こす内臓の病気の予防をする、などが必要です。

 

真菌(かび)による皮膚病

 

皮膚糸状菌症

・概要:
皮膚糸状菌症は、皮膚糸状菌という真菌(かび、常在菌)が原因の皮膚病です。人間にもうつる可能性がある厄介な皮膚病です。この菌に接触したことで感染が成立します。ほとんどの場合は菌を持った動物との接触感染で、犬の抵抗力が下がっている場合に発症することになります。菌は表皮、被毛、爪などに感染します。原因菌には、犬小胞子菌などがあり、白癬(はくせん)、輪癬(りんせん)などと呼ばれることもあります。

・症状:
顔や四肢に多く、円形に脱毛や発赤することが特徴でフケも認めますが、かゆみはあまりないことが多いです。

・かかりやすい犬種:
全犬種、子犬や何か病気を持っていて抵抗力が下がっている場合にかかりやすいです。

・治療方法・治療薬:
部分的に外用薬を使ったり、抗真菌剤が入ったシャンプーを定期的に行う、あるいは抗真菌剤を内服をします。そして、飼育環境内に菌が広がらないようにまめな清掃と飼い主さんの手洗いも絶対に治療の一環として忘れてはいけません。治療には1ヶ月以上かかることが多いです。

・予防方法:
生活環境と皮膚を清潔に保つことが何より大事です。また、一度かかってしまうとぶり返すことがありますから、抵抗力が落ちないように定期的な運動と栄養バランスのとれた食餌が絶対に欠かせません。

 

マラセチア性皮膚炎

・概要:
マラセチアとは特徴的なヒョウタンのような形をした酵母菌の仲間で、犬の皮膚に常在している菌でありますが、何かをきっかけに多く増えてしまうと皮膚に問題が起きてきます。また、耳は皮膚と繋がっていることもあり、環境が菌にとって最適であるため、外耳道の中で増殖して外耳炎を起こすこともあります。ほとんどの場合、この菌の極端な増殖には隠れた病気の存在(例えばフードアレルギー、アトピー性皮膚炎、ホルモンが関わる内分泌系の病気、免疫抑制系の薬剤の長期使用など)があると言われています。

・症状:
かゆみ、脂漏(脂っぽい皮膚)、一部、或いは広範囲の脱毛、フケ、引っ掻き傷、舐めこわし(かゆい為に舐める)、色素沈着、肥厚、臭気。外耳炎を併発している場合には、黒っぽいしっとりした耳垢、臭気、かゆみを認めます。また、搔きこわしや舐めこわしがある場合は、二次感染を起こすこともあります。

・かかりやすい犬種:
シーズー、バセットハウンド、ダックスフンド、ウエストハイランドホワイトテリア、イングリッシュセッター、アメリカンコッカースパニエル、スプリンガースパニエル、ジャーマンシェパードなどが多いと言われていますが、全犬種で発症する可能性があります。

・治療方法・治療薬:
隠れている病気の可能性を確認しながら、抗真菌剤の入ったシャンプーを定期的に行うことで改善を認めることが多いですが、重症な場合には抗真菌剤の内服も併用します。また、皮膚を舐めることが多いのでエリザベスカラーをして防ぐなどが必要な場合もあります。(外耳炎が重篤な場合も、耳を掻かないように装着します。)

・予防方法:
環境と皮膚の清潔を保つことはもちろん、アレルギー体質がすでに判明している場合は定期的な薬用シャンプー洗浄(過度のシャンプーは好ましくありません)や、血液検査による内臓などのチェックも重要です。

 

寄生虫による皮膚病

 

疥癬

・概要:
ヒゼンダニの寄生によって起こり、人間や他の動物にもうつることがあります。このダニに感染している犬に接触したり、同じタオルを使ったなどの接触でもうつり、注意が必要です。ダニは皮膚に穴を掘って住んでおり、卵から成虫になってメスが産卵するまでに2〜3週間程度必要と言われています。寄生しない状態でも3週間程度生きていることができるので、環境の清掃が必要になります。

・症状:
激しい痒みに襲われ、丘疹(ブツブツ)、発赤、フケ、脱毛などを認めます。特に耳の辺縁部は被毛が固まったような状態になり、胸、お腹、肘など被毛が少ない場所に発疹を認めたりすることで症状が出始めます。かゆみによる搔き壊しで傷ができるので、そこから細菌感染を起こしやすいです。

・かかりやすい犬種:
年齢や犬種に関係なく感染する可能性があります。

・治療方法・治療薬:
ダニのライフサイクルに合わせて、数回の駆虫薬治療が行われます。引っ掻き傷などがある場合は抗生物質も使われます。また薬用シャンプーを用いたりもします。

・予防方法:
常に環境の清掃に気を配り、他の犬や他の犬の使った物との接触には十分注意をするようにします。また、特に多頭飼いをしている場合は、1頭が感染すると他の子にも感染は広がるので、万が一感染が判明した場合には、全ての子に対する検査と治療をおすすめします。

 

ツメダニ症

・概要:
ツメダニに感染している犬に接触して感染が成立し、人間にも感染することがあります。皮膚の表面に住んでおり、特に首から背中に検出されることが多く、卵から育って次の産卵までのライフサイクルは3週間程度です。ツメダニは犬の他に猫にはネコツメダニ、ウサギではウサギツメダニの存在が認められていますが、どれも犬の皮膚で生きていくことができると言われています。

・症状:
多量のフケ、かゆみはあまりなく、脱毛、発疹などを認めます。また、背中のフケを観察しているとフケが動いているように見えることがあり、ダニが隠れているのがわかります。

・かかりやすい犬種:
全犬種。特に子犬に多いと言われています。

・治療方法・治療薬:
駆虫薬による治療や薬用シャンプーなどを用います。

・予防方法:
ノミ予防薬でも効果があるものがあります。また、犬、猫、ウサギで感染が成立するので、多くの種類の動物を飼育している場合は、常に全ての動物の皮膚コンディションを確認する必要があります。ダニは動物に寄生していない場合でも10日ほど生きていると言われていますから、環境内の清掃を徹底させて再感染を防がなければいけません。

 

毛包虫症(アカラス)

・概要:
毛包虫はニキビダニとも言われており、毛包の中に住んでいる小さなダニに感染した母犬から子犬にうつることで感染が成立するとされています。多くの健康な犬にも感染していますが、数が少ない場合は無症状であり、数が増加すると皮膚炎に発展します。増加する原因は、免疫系異常による抵抗力の低下、遺伝的素因、年齢、栄養状態、ストレス、発情などが関わっているとされています。人間にはうつりません。

・症状:
脱毛、かゆみはほどんどない場合が多く、重度の感染になると感染部位の皮膚がダメージを受けかゆみが出たり、それを引っ掻くことで傷を作り、二次感染に繋がる場合があります。特に口や目の周り、四肢末端の脱毛が多く、生後3〜6ヶ月の子犬で多く認められますが、多くは自然治癒すると言われています。成犬の場合は部分的なパターンと全身に症状が出るパターンがあり、前者は、一部の皮膚が脱毛して赤くなる、フケが出る程度ですが、全身の場合には部分的な症状が悪化して、皮膚がただれたようになります。その結果、二次感染が起こり、かゆみが出たり、引っ掻いて傷になって痛みを感じることになります。

・かかりやすい犬種:
全犬種、子犬に多いですが成犬でも認めます。

・治療方法・治療薬:
ダニの駆虫薬を使ったり薬浴をさせたりしますが、全身に症状が出ている場合には根気が必要です。また隠れている病気の可能性もあるので、疑わしい病気の検査は全て行います。二次感染の治療には抗生物質などを使います。

・予防方法:
無症状で経過することが多いですが、小さな脱毛や赤くなっている部位をどこかに見つけた場合には、迷わず獣医師に相談しましょう。

 

アレルギー性皮膚炎

 

アレルギー性皮膚炎(アトピー)

・概要:
遺伝的な体質による病気で、環境にあるアレルゲン(アレルギー原因物質)を吸い込んだりすることによって発症してしまう、皮膚の過剰反応です。例えば、ハウスダスト、花粉、かび、などは健康な犬にとっては問題ありませんが、アトピー体質の犬にとっては、非常に危険なアレルゲンです。生後6ヶ月から6歳ごろまでに症状を認めると言われていますが、ほとんどの場合、1歳から3歳までに発症しています。

・症状:
季節的な皮膚のかゆみや発赤(ほっせき)から始まり、いつの間にか頻繁にこれらの症状が出るようになります。四肢末端、脇腹、鼠径部、脇の下、顔、耳などにかゆみや発赤が集中します。そして自ら引っ掻いてしまうことで傷を作ったり、舐めたりして細菌感染を起こす、或いは脱毛、色素沈着、肥厚などを認めます。マラセチア性皮膚炎や外耳炎を合併したり、結膜炎になることも多いです。

・かかりやすい犬種:
ボストンテリア、フレンチブルドッグ、パグ、柴犬、トイプードル、ヨークシャーテリア、コッカースパニエル、ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバー、ミニチュアダックスフンド、ウエストハイランドホワイトテリア、ジャーマンシェパード、ミニチュアシュナウザーなどは多いと言われています。

・治療方法・治療薬:
かゆみや炎症を止める薬剤としてステロイドを処方することが多いですが、二次感染である細菌や真菌のための抗菌剤も必要とします。さらに、定期的なシャンプーや薬用ローション、外用薬の使用、食物アレルギーを併発することも多いため、アレルギー用の処方食を与えたり、環境整備(空気清浄機)などが必要となります。治療の目標は、症状が緩和した状態を維持するということになりがちです。

・予防方法:
好発犬種を飼育している場合は、十分に発症する可能性と病気の概要を理解し、普段から空気清浄機を使う、低アレルギー食を与える、皮膚の状態に合わせた定期的なシャンプーと薬用ローション(セラミド系)塗布を行う、また、季節による皮膚のかゆみを認めた場合には早めに獣医師に相談することをおすすめします。

 

アレルギー性皮膚炎(食物性)

・概要:
人間と同様に犬にも食物アレルギーは存在します。これはフードの原材料やフードの中に含まれている添加物が原因で、それによって体が過剰に反応して皮膚に症状が出てくる病気です。季節に全く関係なく、長期に渡り同じフードを食べていたことで起こり、3割近い犬で1歳以下のうちに診断されています。

・症状:
一部、或いは全身のかゆみと発赤、顔、耳も含め、体幹部、四肢末端など、至る場所に症状が出る可能性があります。そして、舐め壊し、搔き壊しの結果、皮膚を傷つけて二次感染が起こり、かさぶたができたり、脱毛、色素沈着などが起きます。二次感染の原因は細菌類が多く、特に外耳炎を併発するとマラセチアなどの真菌も増殖します。また、皮膚は肥厚して脂っぽい(脂漏)状態になります。皮膚以外の症状としては、消化器症状として嘔吐や下痢、排便回数の増加、おなら、などが認められることがあります。

・かかりやすい犬種:
年齢や犬種に関係なく発症する可能性があります。

・治療方法・治療薬:
アレルギーの原因となるものを取り除くため、低アレルギー食に変えます。また、変更してから改善するまでには2ヶ月以上経過を見なければなりません。更に、かゆみと二次感染に対する治療を並行して行います。

・予防方法:
小さい時からどんな種類のフードを食べているのかをしっかり確認することと、同じものを何年も継続しないことが必要です。同じフードを食べていて、何度か下痢や嘔吐をした場合には速やかに獣医師に相談し、フード変更も検討すること。また、フィラリアなどの予防薬の中にはフレーバー付きのものがありますが、シンプルな薬剤のみの予防薬を選ぶことをおすすめします。

 

▼ペットくすりの皮膚病のお薬▼

 アジー イトラコナゾール
アジー
イトラコナゾール100mg15カプセル

細菌が原因の様々な
病気に用いる抗生剤。
皮膚感染にも◎!

抗真菌薬。
マセラチア、
皮膚糸状菌などの治療に!

 ペルメトリンクリーム アイチュミューン
ペルメトリンクリーム
アイチュミューン

ダニによる皮膚病や
疥癬に使用可能。エリマイト
クリームのジェネリック。

アトピー性皮膚炎の薬。
アトピカのジェネリック。
飲みやすいソフトカプセル。

 

 

写真参照:https://www.photo-ac.com/main/detail/714607?title=PCとノート
https://www.photo-ac.com/main/detail/838365?title=聴診器5

Category: 病気・症状

About わんだほー先生

ペットくすりの公式キャラクターがお送りする、犬や猫のお薬や病気・健康維持についてのブログです。 ブログの内容は、獣医さんの監修ですが、同じ病気でも症状や個体差等により対応が異なることもあります。大切なペットのことですので、お薬の投与や症状に関しては、必ず実際に診察を行い獣医師の判断に従うようにしましょう。

One thought on “【まとめ】犬の皮膚病|症状・治療・予防方法

  1. たなか けんいち

    症状をたくさん紹介いただいても写真がないと、どれに該当するかわかりません。我が家の愛犬は、カビが原因とのことで、かかりつけの獣医に処方された塗薬を三か月余り使いましたが、皮膚・毛ともに変色・ただれ状態となり、現在は薬治療していません。ぜひ、病状のわかる写真の添付をお願いいたします。

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