【猫】アメリカンショートヘアがかかりやすい病気を知っていますか?

By | 2017年9月20日
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PK_BLOG-2017-07-31

 

アメリカンショートヘアの特徴

 アメリカンショートヘアーは人懐っこく、大家族の場合も一人暮らしの場合も問題なくとても飼いやすい猫ちゃんです。しかし、とても太りやすい体質をしていたり、遺伝的になりやすい病気もあります。

代表的な病気には以下のようなものがあります。

 

1.股関節形成不全の概要

 

 ワンちゃんでは割と多いのですが、猫ちゃんでも見られる病気です。遺伝的な異常と言われており、正常な場合は太ももの骨(大腿骨)は骨盤にしっかりはまっていますが、この病気があると”はまり”が悪い為に発症すると言われております。

●症状

 症状には幅があり、とても軽症であれば痛みがあるか無いか程度ですが、重症になってくると跛行(びっこ)するようになります。また脱臼する可能性もあります。

●治療法

 基本的には体重が重い子は減量をすることと、理想体重の維持をベースに、内服薬での治療と安静にして経過を見ます。しかし、重症な場合は手術を行うことになります。

●予防法

 後ろ肢に負担をかけないように体重管理をすることが何より大事です。また、小さい頃からジャンプをしたりする時に不自然になっていないかなどの観察が早期発見の決め手になります。

 


 

2.肥大性心筋症の概要

 

 この心臓の病気は猫ちゃんの中で一番多いとされており、遺伝的な原因が指摘されています。心臓が左右に分かれていますが、左側の下に当たる左心室の内側の筋肉(心筋)が徐々に分厚く肥厚してくることで全身に血液が回りづらくなり、血栓ができてしまったりなどの様々な症状が現れます。心臓の病気ですから、非常に重篤になると死につながることもあります。

●症状

 運動したがらない、呼吸が荒い、舌が紫になる、後ろ肢が立たない、などがあります。

●治療法

 レントゲンやエコーで診断をしますが、表に明らかな症状がない場合には経過観察となり、何らかの症状がある場合には心臓の機能を助ける内服薬を服用することになります。しかし、突然症状が出て緊急事態になることもある為、場合によっては入院中に亡くなるケースもあり、予後はあまりよくありません。

●予防法

 遺伝が絡んでいるこの病気は早期診断、早期治療が一番大事です。最初のワクチンの頃から常に毎年一度は心臓のエコーなどの検査を受ける心構えが必要です。

 


 

3.多発性腎のう胞の概要

 

 先天性に起こる病気で、ペルシャ猫などの長毛種に多く見られますがアメリカンショートヘアーでも見られることがあります。腎臓の皮質と髄質に沢山の嚢胞(液体が入った袋状の構造物)ができ、時間の経過と共に数を増やし、そのサイズも大きくなります。そして最終的には腎臓も大きくなります。

生後6週から8週の時点で診断可能であることが多いですが、それより後に明らかになることもあり、肝臓にも同じような嚢胞ができている場合もあります。これらはエコー検査で見ることができます。

非常に重症の子猫は生後8週程度で腎不全により亡くなることもありますが、大抵、無症状で過ごし7歳頃になって慢性腎不全を発症します。

●症状

 症状は慢性腎不全(腎臓病)と似た、多飲多尿、食欲不振、体重減少、嘔吐、元気消失となります。
また、この嚢胞に細菌感染を起こすした際には発熱が見られます。予後は腎不全の治療の具合により変わります。

●治療法

 残念ながら完治する病気ではありません。しかし、慢性腎不全の状態にあるので、腎不全から生じる尿毒症の状態改善を目標に治療が行われます。基本的には、皮下点滴により脱水を防いで血液量を増やしてあげることと、
処方食によりタンパク質とリンの制限をして症状の悪化を防ぎます。その他にも、症状の度合いによって内服薬を使うこともありますが、非常に症状が重篤な場合には静脈点滴をする必要が出てきます。

●予防法

 好発猫種ということで、この部分は予防ができませんが、尿結石と食餌の関係は明らかになっていますから、普段からフード内容に気を使いましょう。また、運動不足、肥満、ストレスは全ての病気に繋がりますから注意して下さい。
そして、何より、新鮮なお水をいつも用意して飲めるようにしておきましょう。

 


 

4.先天的難聴の概要

 

 猫種に関係なく白い猫ちゃんで、特に青い瞳をしている子は先天的難聴の可能性があり、アメリカンショートヘアーの猫ちゃんの中でも見られることがあります。

●症状

   聞こえづらい状態かほとんど聞こえていない状態の二種類あります。
もしも、飼い主さんが観察をしていて、呼んでも反応しない、音をさせてもそちらを見ない、など、”もしかしたら聞こえてないのかもしれない”と感じた場合には、まず病院でチェックしてもらいましょう。外耳炎やポリープなどの問題がない場合には難聴と考えられます。

●治療法

 先天性である場合は治療法がありませんが、猫ちゃん達は聞こえないなりに環境に順応して行きます。そのため、生活環境を過ごしやすい状態にしてあげる工夫が必要です。例えば、外に出すことは危険なので絶対にしてはいけません。

●予防法

 生まれ持った性質ですから、猫ちゃんが安心して音がなくても安全である環境作りが重要です。突然後ろから抱き上げたりなどは、びっくりする可能性があるので、必ず前から目でわからせて動作をするなどの工夫をしてあげて下さい。

 


 

5.糖尿病の概要

 

 糖尿病は人間と同じで、猫ちゃんも運動不足で太り過ぎであれば、糖尿病になるリスクは上がります。
元々、遺伝的素因が絡んでいると言われており、どの猫種でもリスクがありますが、去勢した肥満オス(7歳から10歳ぐらいの時期)に発症することが多いです。特にアメリカンショートヘアーの肥満になりやすい性質は要注意となります。

 糖尿病には Ⅰ型(インスリン依存性)と II型(インスリン非依存性)があります。食餌で体に入った糖を、膵臓のランゲルハンス島β細胞(ベータさいぼう)から分泌されるインスリン(ホルモン)がエネルギーに変えて臓器に取り込ませたりして、最終的には血糖値が上がらないように働きます。このインスリンが十分に出ないタイプがⅠ型糖尿病(インスリン依存性)で、インスリンが出るのにうまく使われないタイプがII型糖尿病(インスリン非依存性)です。

 どちらのタイプも高血糖の状態になり、腎臓では糖の量が多すぎて再吸収を十分にできずに尿中にも糖が出てしまいます。

●症状

 猫ちゃんの場合はII型が多く、元気消失、多飲多尿、体重減少、嘔吐、脱水、などの症状が出ます。血液検査や尿検査を行いながら他の同じような症状が出る病気と鑑別して診断します。

●治療法

 軸となるのは血糖値をコントロールすることですが、これにはインスリンの皮下注射、食餌療法、運動がメインとなります。糖尿病用の処方食は非常に種類が増えたので、以前よりも選択肢ができ、お気に入りのフードが見つかると思います。

 非常に重症な場合には死に至ることもあり、インスリンの量を検査入院で決めてもらったら、必ず決められた量を決めらた時間にご飯を食べさせてから打つことを忘れてはいけません。猫ちゃんのご飯の食べ方がまちまちで難しいとは思いますが、空腹でインスリンを注射した場合には低血糖で亡くなる場合もあります。また、予後は血糖値の安定と背後にある別の病気の存在によっても変わって来ます。コントロールがうまく行く場合にはインスリン注射がなくても過ごせる場合もあります。

●予防法

 人間同様に、普段から食餌の量は運動量には気を使いましょう。常に体重のチェックを心がけることと、フードの量を適当量とせずに、理想体重のための量をしっかりと確認して与えなければなりません。猫ちゃんは数回に分けてちょこちょこ食べるので、1日の量を守ることと、キャットタワーやおもちゃで遊ぶなどの運動をさせることも重要です。

 


 

6.尿路結石症 (尿石症) の概要

 

 一般的に猫ちゃんにはとても多い病気で、アメリカンショートヘアー(特に太ったオス)は好発猫種とされています。これは、尿路(腎臓から膀胱につながる尿管から膀胱の先の尿道)に何らかの原因で結石ができることです。
結石ができる原因には、食餌や細菌感染などが考えられており、3歳から5歳で発症し、再発しやすい病気です。結石の種類は何種類かありますが、アメリカンショートヘアーに関してはシュウ酸カルシウムと言う成分が非常に多く、一度できると、処方食によって尿の状態を正常に保っても溶けてなくなることがないの厄介です。溶けてしまうストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)の場合は、処方食を食べて尿を酸性にすることで溶かすことができます。

●症状

 トイレに何度も行く、少ししか出ない、血尿、ぐったりする、嘔吐、排尿時の痛み(疼痛)、などがあり、最悪の場合には結石が詰まって尿が出なくなります。この時点では緊急の対応が必要です。

●治療法

 触診やエコーで膀胱に尿が溜まっておらず、少しでも尿が出ていることを確認した場合は、内服薬と尿の状態を正常に保つ処方食を食べることになります。また、尿が全く出ておらず、ぐったりしている場合にはすぐに緊急処置(静脈点滴など)を行い、尿道にカテーテル(管)を挿入して尿を出すことから始めます。大抵の場合はこの処置で詰まってしまった結石も取り除くことができますが、大きな結石の場合は摘出手術をすることもあります。そして、この病気で重要なのは、処方食は勝手に止めることができないということです。飼い主さんの判断でフードを変えると、また同じことが起こります。獣医師の指示がない限りフードを変えてはいけないのです。

●予防法

 太らせないこと、運動をさせること、フード、の3点が予防の柱です。フードはある程度グレードの高いプレミアムフードなどと言われている、結石ができない工夫がされているものをおすすめします。しかし、それでも結石ができてしまうことがあります。ですから、普段からトイレの回数や尿量をチェックして、いつもと違うと思ったらすぐに受診して下さい。多頭飼いをされている場合は、猫ちゃんはとてもストレスを感じやすく、どの病気にも良くないですから、それぞれの個別の空間を用意することと個々の排泄チェックを忘れないようにしましょう。

 


 

7.アレルギー性皮膚炎の概要

 

 人間と同様に、猫ちゃんでもある種の環境にあるアレルゲン(アレルギー原因物質)に対して反応し、皮膚炎を起こしたりすることがあります。また、食べ物や外部寄生虫でも反応が起きたりします。

●症状

 大抵、1歳から3歳の間に皮膚のかゆみや発疹(ブツブツ)などが出始めますが、かゆい部分を舐め壊したり、顔をこすったり、耳を掻いたりして外耳炎になったり、と二次的に症状を悪くしてしまう場合がほとんどです。猫ちゃんがいじってしまった場所は、脱毛して赤みがあり、フケが出たり、皮膚が薄くなったり、などの様々な症状が見られます。

●治療法

 アレルギーは免疫の暴走と表現できるように、免疫反応が強く出すぎてしまった結果ですから、免疫を抑えるような薬と、掻きこわしてしまって出血などがある場合は、細菌感染予防に抗生物質を使うことになります。また、環境を整備する(アレルゲンを除去する大掃除)などの工夫と、アレルギー反応が起きにくいフードを使うことになります。

●予防法

 生活環境の中に存在するアレルゲンを取り除くことが重要ですから、清掃をまめに行うことと、フードは同じものをずっと与え続けない、ノミなど予防をしっかり毎月行う、などが挙げられます。

 

上記のような症状を少しでも現れたら、

早期治療のためにすぐに診断してもらいましょう☆

参照画像:

https://nekogazou.com/about-us/

Category: ケアについて 病気・症状

About わんだほー先生

ペットくすりの公式キャラクターがお送りする、犬や猫のお薬や病気・健康維持についてのブログです。 ブログの内容は、獣医さんの監修ですが、同じ病気でも症状や個体差等により対応が異なることもあります。大切なペットのことですので、お薬の投与や症状に関しては、必ず実際に診察を行い獣医師の判断に従うようにしましょう。

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