子犬に多い皮膚病「アラカス(ニキビダニ)」

By | 2014年6月23日
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最近、複数の方からお問合せ頂いたのが「アラカス」という、ニキビダニを原因とした皮膚病のこと。流行の兆しでしょうか?どんな皮膚病なのか、ご紹介します。

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毛穴の中に寄生する小さなダニ「ニキビダニ」
ニキビダニ症、アカラス、毛包虫症、デモデックスなどと呼ばれる病気をご存知でしょうか?呼び方はいろいろですが、全て同じ寄生虫による皮膚病のこと。毛穴の中に寄生する小さなダニです。

犬に多いダニで、稀に猫にも寄生しています。ニキビダニはヒトにもいますが、ヒトに寄生するニキビダニと犬や猫に寄生するニキビダニとは種類が違うので、ペットからヒトに感染する心配はありません。

 

抵抗力が弱まると症状が出る皮膚病
このニキビダニは、少量なら健康な動物にも寄生しています。体が弱っている時や、もともと抵抗力のない子犬や老齢犬で、症状があらわれます。特に子犬に多い皮膚病です。

ニキビダニの寄生部位は、二次感染を起こし、膿疱、膿瘍が形成されます。またアレルギーを併発している場合も多くあります。

 

治療法は殺ダニ剤の投与
診断は、皮膚を引っ掻く専用の器具で、少し出血するくらい皮膚を引っ掻き、水酸化カリウム液と混ぜて、顕微鏡で観察。ニキビダニを確認します。

治療法は、ニキビダニの虫体に対しては、有機リン剤、カーバメント剤、ホルムアミジン類と呼ばれる殺ダニ剤を使用します。外用で治療する場合も内服で治療する場合もありますが、どちらにしても、根気のいる治療が必要とされます。

 

ステロイド剤は絶対にダメ
二次感染には抗生物質を使用し、アレルギーに対しては抗アレルギー剤を使用します。ただし、ここで禁忌となるのはステロイド剤の投与です。通常、アレルギー治療ではステロイド剤が重要な薬剤となりますが、ニキビダニ症では症状を悪化させてしまうので要注意です。動物病院でもニキビダニを正しく診断できず、間違えてステロイド剤を処方し、悪化させてしまったという例もありますので、ご注意ください。

 

参考資料
新版家畜寄生虫病学 朝倉書店(1998)

Photo By
 http://www.flickr.com/photos/lukema/9613748751/

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