獣医さんが教える!!高齢猫が注意すべき病気

By | 2017年11月22日
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 猫も人間と同じように年をとると様々な病気にかかります。しかし実際に動物病院に来院される飼い主の方の中には、「猫がこんな病気になるなんて知らなかった」「飼うとき、誰も教えてくれなかった」という方もいらっしゃいます。

ここでは、高齢の猫で見られる病気の中でも『がん』『甲状腺機能亢進症(心臓に異常が見られる病気)』『慢性腎疾患』について解説します。

いずれの病気も早期発見することで、よりよい治療が可能となります。ぜひそれぞれの病気の特徴を知り、あなたの猫の異常を早く発見できるよう、本記事を役立てましょう!

 

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► がん(乳がん)

 高齢になると、腫瘍性疾患、すなわち『がん』を発生する割合が高くなっています。一般的には、猫は人間や犬よりもがんは少ないと言われていますが、それでも乳がんやリンパ腫といったがんを診察することは多くありますし、もちろん口の中や鼻の中のがん、胸やお腹の内臓のがんなど、人間や犬と同様に、猫でもあらゆる場所にがんは発生します。

今回は、猫のがんの中でも比較的多く見られる乳腺腫瘍について解説します。

 

  • 乳腺腫瘍(乳がん)

 猫では、がんの中でも乳腺腫瘍は比較的多く見られます。おそらく内臓や血液など、外見からではわからないがんよりも見つけやすいためだと思いますが、それでも同じように見つけやすいはずの皮膚がんよりも、発生が多い印象です。しかし、猫の乳がんは、80~90%とほとんどのものが悪性だと言われており、比較的よく見かけるがんですが、決して簡単に治療できるものではありません。猫の乳がんの多くは高齢になってから見られるものです。
犬では、小さい頃の初回発情前の避妊手術によって、乳がんの発生率を下げることができると言われていますが、猫では実際に確認されてはいません。しかし、乳がんは卵巣ホルモンの影響が大きいと言われていますので、猫でもある程度の予防効果がある可能性があります。

 

猫の乳腺は左右に胸から下腹部にかけて存在しており、左右4つずつの乳頭があります。乳がんはその乳腺付近に発生するがんで、「しこり」として触知されます。そのしこりは発見した状況にもよりますが、大きさは様々ですし、中には一つだけでなく、複数のしこりが見つかることもあります。

 

乳腺付近にしこりが見つかった場合、基本的には外科手術が選択されます。一般的にがんの診断は、手術の前にしこりに注射針を刺し、その針の中から採れた細胞を顕微鏡でチェックします。そうすることで、どのようながん細胞が原因となっているのか、ある程度推測することができるのですが、乳がんの場合は、細胞の形だけでははっきりしないことも多く、また、確率的に猫の乳がんの多くは悪性のため、針を刺す検査を省略して、そのまま外科手術を行うこともあります。

外科手術を行う場合、しこりだけを切除する手術や、一部の乳腺を一緒に切除する手術、あるいは全ての乳腺を完全に切除してしまう手術など、様々な方法があります。どの手術方法を選択するかは、一頭一頭の状況によって異なりますので、実際には手術を行う獣医師としっかりと相談して決めていただくことになります。

 

また、猫の乳がんの多くが悪性ということから、私自身の経験として、ほとんどの猫の乳がんでは手術を行っています。しかし、病院に連れてくるのが遅くなってしまった猫では、乳がん自体に痛みを持っていたり、あるいは大きくなりすぎて破れてしまい、化膿を起こしているようなケースもあり、猫自身は大変辛そうにしていました。

さらに、すでに肺など他の臓器に転移してしまっている場合も、多くの場合は手術は行いません。

 

また、猫の乳腺腫瘍では、切除後の再発予防、あるいは全身麻酔のリスクが高く、手術が困難な猫に対して、抗がん剤療法を実施したり、放射線療法を行うこともあります。

 

前述のとおり、乳がんの予防として、初回発情前の避妊手術は有効である可能性があります。それ以外には、今のところ明確な予防方法はありません。また、しこりが小さい方が手術の負担も少なくなりますから、普段から乳腺付近にしこりがないか、こまめにチェックして早期発見に努めることも重要です。

 

► 甲状腺機能亢進症

 犬と比べて、猫は高齢になっても心臓の病気がものすごく多い、というわけではありません。しかし、心臓に負担をかける病気の中に、甲状腺機能亢進症という病気があり、これは高齢の猫でしばしば見かける病気です。

甲状腺とは甲状腺ホルモンを分泌する内分泌器官ですが、その甲状腺が過剰に甲状腺ホルモンを分泌してしまう病気です。甲状腺ホルモンは、体の代謝を司るホルモンで、それが過剰に分泌されると代謝が亢進し、様々な症状を発症するようになります。

 

初期症状
⇒ 食欲増進、体重減少、ギラッとした目つきなどが見られますが、これらは一見、病気とは気づきづらい症状です。そのため、このような段階では、ワクチン接種など他の病気で来院された時に初めて気付く、あるいは健康診断で気づくということが多く見られます。ちなみに健康診断では、血液検査では肝臓関係の数値が上昇したり、レントゲン検査で心臓の肥大を認めたりします。

さらに症状が進むと、お水をたくさん飲んで、薄い尿をたくさんするようになる、毛艶が落ちてしまう、元気食欲が落ちてくるという症状が見られるようになります。しかし、この段階でも飼い主の方の中には「高齢だから仕方ないね」ということで、病気に気づかない方もいらっしゃいますので注意が必要です。

猫の甲状腺機能亢進症は、血液検査で調べることができますので、高齢の猫で気になる場合は、健康診断などで一緒に調べておくことをお勧めします。

 

原因
⇒ 甲状腺の腺腫または腺癌、つまり良性または悪性の腫瘍です。悪性の甲状腺癌の場合は、進行も早いため積極的な治療が必要ですが、良性の甲状腺腫の場合、その進行は緩やかなため、必ずしもがんとしての治療(外科手術や化学療法、放射線療法)を行うわけではありません。

その場合、多くはお薬で甲状腺ホルモンを抑えたり、食事で甲状腺ホルモンを作りづらくすることによって管理しています。
特に近年は、猫の甲状腺機能亢進症に対応した療法食が作られ、比較的安全に病気の管理ができるため、導入している動物病院も多いと思います。

猫の甲状腺機能亢進症ははっきりとした原因(なぜ腫瘍になるのか)はわかっていません。そのため早期発見、早期治療が非常に重要ですので、日頃から、怪しい症状が見られた場合には、積極的に血液検査で甲状腺ホルモンを調べるようにしましょう。

 

► 慢性腎疾患

 慢性腎疾患はかつて慢性腎不全と呼ばれていた病気です。高齢の猫では最も多く見られる病気で、また完治させることが難しいため、積極的な治療を行い、なるべく元気な状態を長く維持できるようにしてあげることが重要です。

 

猫はその祖先が砂漠で暮らしていたことから、水が貴重な環境でも生きていけるよう、水分を効率よく利用できる仕組みを持っていると言われています。腎臓は、体の老廃物を尿に排泄させる役割をもつ臓器ですが、体から過剰な水分が尿に出ていかないよう、腎臓で濾過された水分を再吸収させる仕組みが備わっています。猫は、その水分を再吸収させる能力が高く、水分が少ない環境でも生きてけると言われているのですが、その分、腎臓にかかる負担が大きいため、高齢になると機能が落ちやすいと考えられています。

 

初期症状
⇒ 非常に分かりづらく、外見上はほとんど健康な猫と変わりません。そのため、なるべく早い段階で猫の慢性腎疾患に気づくためには、定期的な尿検査が有効です。目に見えないレベルの異常を見つけることで、早い段階での腎機能の低下を確認することができます。ちなみに、一般的には腎機能のチェックは血液ですることが多いですが、実は血液上の数値は、猫の腎機能の70%が障害を受けないと異常を示さないと言われています。ですので、血液検査で異常が見られた場合には、すでに初期症状ではなくかなり進行している状態と言えます。そのレベルでは、お水をたくさん飲み、たくさんの尿をする、痩せる、食欲がなくなるなどの症状が見られるようになります。さらに病気が進行してしまうと、『尿毒症』と呼ばれる症状(口臭、口内炎、嘔吐、けいれん発作など)が見られるようになります。

 

猫の慢性腎疾患は残念ながら完治させることができません。研究レベルでは腎臓移植により治療を行なっている施設もありますが、ごく限られた大学病院などになります。ですので、多くは完治させるのではなく、症状を緩和し、できるだけ腎臓を長持ちさせるための治療が中心になります。中でも輸液療法は、通院や入院が必要ですが、慢性腎疾患の症状を緩和させるのに非常に有効な治療です。そのほかにも、ACE阻害薬と呼ばれる血圧を下げるお薬、療法食による食事療法、食事中のリンを吸着させるサプリメントなども有効だと考えられています。また近年では、新しい猫の慢性腎疾患治療薬も発売されており、よりしっかりとした治療が可能になっています。

 

猫の慢性腎疾患は、完治させることが難しい病気で、なるべく早く治療を開始することで、元気な状態を比較的長く維持させることができます。そのため、定期的な尿検査で早期発見に努め、慢性腎疾患を患ってしまったら、できるだけ積極的な治療を行い、猫の負担を減らしてあげることが重要です。

 

▻ まとめ

 今回ご紹介した高齢の猫で多く見られる病気は、どれも初期症状には気づきづらいものばかりです。
しかし、病気に気づかず進行させてしまうと、猫にかなり辛い思いをさせてしまいます。そうならないためにも、早期発見できるよう普段からの定期的な検査などを心がけていただければと思います。

 

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犬、猫の両方にお使いいただけます。

 

写真参照:

https://www.photo-ac.com/

Category: ケアについて 病気・症状

About わんだほー先生

ペットくすりの公式キャラクターがお送りする、犬や猫のお薬や病気・健康維持についてのブログです。 ブログの内容は、獣医さんの監修ですが、同じ病気でも症状や個体差等により対応が異なることもあります。大切なペットのことですので、お薬の投与や症状に関しては、必ず実際に診察を行い獣医師の判断に従うようにしましょう。

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