ペットのフードアレルギー

By | 2014年7月28日
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 アレルギーとは

アレルギーというのは簡単に言うと、免疫機能の過敏反応です。免疫とは本来、自分の身体を守るためにあります。これが弱ると様々な病気に罹ってしまい、大変な事になります。ですが、それが過敏に反応し実際には退治しなくても良いものまで‘敵とみなし、攻撃するようになると、それも身体にとって、有害な反応として現れるのです。

【食物アレルギー】
一般的な食物アレルギーの原因(アレルゲン)は、牛肉、乳製品、穀類(小麦・大豆・米)、鶏肉、卵です。食物アレルギーは、どの年齢でも現れますが、ワンちゃんネコちゃんでの好発年齢は1~3歳です。食物アレルギーでは、3ヶ月齢までの食生活が大事だと言われています。この頃に人間の食べ物をいろいろ食べていると、食物アレルギーになりやすいと言われています。

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【アレルギー症状】

食物アレルギーの症状には、下痢、嘔吐、皮膚炎、外耳炎などです。ひどい場合には黒い便が出る事もあります。これは胃酸で変色した血液が混ざった便です。食物アレルギーによる皮膚炎は、口のまわりを中心とした顔に出やすいのですが、全身のどこにでも出てきます。舐める、掻く、噛むなど、痒みに伴う動作を示し、脱毛や発赤が認められます。

食物アレルギーの診断は、かなり時間のかかるものです。血液検査である程度の目安はつきますが、それから、「除去食試験」「負荷試験」をしなければ、確定診断には至りません。

 

●除去食試験とは、上記に挙げた一般的な食物アレルギーのアレルゲンを取り除いたフードや、アレルゲンとなるタンパク質を加水分解してアレルギーを起こさないようにしたフードを与えるといったものです。これには12週間ほどかかります。これで、症状が出なくなったら、食物アレルギーと言えます。ただし、これは口で言うほど、簡単なものではありません。決められたフード以外、何も与えてはいけないのです。家族の誰かが「少しくらいいいだろう」と、ほんのちょっとでもおやつを与えたら、除去食試験は失敗してしまいます。飼い主さんも忍耐強く頑張らないといけないのです。

除去食試験で食物アレルギーであるとされたら、次に負荷試験を行います。

●負荷試験とは、アレルゲンになりそうな食材をわざと与える事です。これは1つずつ行います。例えば、まずは牛肉を与え、大丈夫だったら、次は鶏肉、これも大丈夫だったら、次は卵、といった具合です。これも何週間もかかる試験です。

手間と時間はかかりますが、これで食物アレルギーのアレルゲンを特定できます。アレルゲンが特定できたら、それを与えないようにする事で、アレルギーの症状を防ぐ事ができます。

 


食物アレルギーは、獣医師も診断するのが難しい病気です。
例えば、「長引く下痢を、ずっと下痢止めや整腸剤だけで治療しているのに治らない。実はそれは食物アレルギーだった」という場合もあります。

「食物アレルギーかな?」と思ったら、自己判断せず、必ず動物病院を受診しましょう。

 

 

参考資料:最新家畜微生物学 朝倉書店(1998)
http://www.royalcanin.co.jp/new/health_nutrition/health/food_allergy/

 

Photo by  https://www.flickr.com/photos/aon/2240802446/

 

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