冬に悪化する犬猫の関節炎と犬の椎間板ヘルニア

By | 2016年12月1日
LINEで送る

今回は、冬に悪化しやすい犬・猫の関節炎についてお話ししていきたいと思います!
冬に関節炎が悪化しやすいのはなぜなのでしょうか?
そもそも、関節炎の原因は何なのでしょうか?
関節炎をお持ちのペットの飼い主さんも、そうでないペットの飼い主さんも、関節炎について勉強していきましょう!

blog-2016-11-29

 

犬と猫の関節炎について

 犬と猫も、人間と同じように様々な原因による関節炎が見られます。
長年の負担で軟骨がすり減った結果、関節炎が生じる老齢性のものや、リウマチや多発性関節炎など免疫異常による関節炎、あるいは外傷性やがんによる関節炎なども見られます。

 中でも犬に多いのは、大型犬の関節炎や小型犬の膝蓋骨脱臼、あるいは先天的な股関節異形成症による関節炎です。
大型犬の関節炎は、人間の手により作られた大型犬ですが、その関節の耐久性は大型犬の体重を支えられるものではないため、体格の割に関節の強度が弱く、容易に関節炎を起こしてしまいます。
 また小型犬の膝蓋骨、いわゆる膝のお皿が外れてしまう病気では、膝に余計な力がかかるため、様々な関節炎のリスクとなります。さらには股関節異形成症は、生まれつき股関節が正常に形作られず、正常な関節の可動ができずに炎症を起こしてしまいます。

 一方、猫では、スコティッシュフォールドなどで先天的な関節異常が見られ、その結果関節炎が引き起こされます。また、室内のみで飼育されている猫のうち、老齢の猫の多くは、明らかな症状は認められませんが、レントゲン上で関節の異常が見られる「関節症」を持っているというデータもあり、遺伝的な要因だけでなく、運動など生活環境による関節への影響も考えられています。
 いずれも関節に生じたダメージはなかなか修復することは難しく、膝蓋骨脱臼や股関節異形成症など、手術が適応となる病気以外は、消炎剤や関節用のサプリメントを用いて症状を緩和することが主な治療となります。
 慢性的な関節炎は、治療を行なっても徐々には進行するため、治療は長期にわたることも多く、その結果、場合によっては消炎剤の長期投与によるリスクが生じてしまいます。 ですが、近年は関節炎の進行サイクルをブロックする薬も開発され、その有効性が示されています。このような治療は長期管理を行う上で、非常に有用で、消炎剤の長期使用のリスクを緩和することができます。

冬に関節炎が悪化する理由

 一般的に冬になると関節炎が悪化すると考えられています。冬では、寒さで血管が収縮し、血液の流れが悪くなってしまいます。そうなると筋肉の血行も悪くなるため、筋肉が固くなってしまい、さらには関節周辺の血流も悪化することで、関節に大きな負担がかかるようになります。そのため関節炎を持つ動物は、寒さからくる関節への負担によって、炎症がさらに悪化してしまうのです。

 犬の椎間板ヘルニアも冬に気を付けたい病気!

 背骨も椎間板というクッション材を持っており、関節と似た構造をしています。そのため、他の関節同様、冬場で筋肉の強張りなどがあると、背骨にも負担がかかると考えれられており、この場合は関節炎というよりは「椎間板ヘルニア」が引き起こされます。

 実際に私の病院でも、冬場に椎間板ヘルニアで受診する犬が増えています。
 椎間板ヘルニアは、重度のものになると下半身が麻痺しますので、明らかな症状として認識されるのですが、軽いタイプの場合、麻痺が認められず、痛みだけが唯一の症状になることがあります。 しかし、人間から見ると「キャンッ」と鳴いたりして明らかに痛がる様子があるものの、どこを痛がっているのかわからないことも多いため、「どこかを痛がっている様子がある」「抱き上げようとするとキャンと鳴く」あるいは「いつもは軽く飛び越える段差を躊躇している」などの症状が見られた場合は、椎間板ヘルニアを疑う必要があります。

 椎間板ヘルニアを発症すると、治療は大きく分けて外科手術と内科療法に分けられます。
 麻痺が生じるレベルの重度の椎間板ヘルニアでは、外科手術が行われることが多いのですが、軽いものだと内科療法で治療することが多いです。しかし、内科療法では「安静」を保つ必要があり、性格的に安静が困難な犬では、症状が進行してしまうこともあるため注意が必要です。

8247068910_ba76156b8e

今回は、冬に悪化しやすい関節炎とそれと似た構造の椎間板ヘルニアも見ていきました!
次回は、犬猫の関節炎をより掘り下げて、予防方法や自宅でできるケアなどもご紹介したいと思います!⇒こちら

 

【その他の記事】

 ▼ペットくすりでは、犬の関節炎のお薬も取り扱っております。▼

カロダイル25mg メタフラム1mg

 リマダイルのジェネリック! 
犬の関節炎に使われる
非ステロイド系抗炎症薬です。

メタカムのジェネリック! 
 関節の痛み・炎症を和らげる薬です  

画像参照;http://www.flickr.com/photos/126654539@N08/26111056823、http://www.flickr.com/photos/63902894@N07/8247068910

 

Category: ケアについて その他 病気・症状

About わんだほー先生

ペットくすりの公式キャラクターがお送りする、犬や猫のお薬や病気・健康維持についてのブログです。 ブログの内容は、獣医さんの監修ですが、同じ病気でも症状や個体差等により対応が異なることもあります。大切なペットのことですので、お薬の投与や症状に関しては、必ず実際に診察を行い獣医師の判断に従うようにしましょう。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *