【猫】スコティッシュフォールドがかかりやすい病気とは?

By | 2017年9月13日
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スコティッシュフォールドとは?

スコティッシュフォールドは、垂れ耳の奇形を持っている突然変異から生まれた猫ちゃんで、その可愛さから人気があります。

しかしながら、その奇形ゆえに特有の病気があるのも事実です。

代表的な病気には以下のようなものがあります。

 

1.遺伝性骨形成異常症とは?

 この猫種の特徴である耳が垂れている状態は軟骨異常があるからですが、耳以外の部位で、軟骨と骨の成長異常がある場合に遺伝性骨形成異常症と呼ばれます。これは、生後4ヶ月から6ヶ月の頃に症状として分かるようになることが多いです。

●原因

遺伝学的にこの異常が出やすい組み合わせを交配(垂れ耳同士の交配)したことだと言われています。しかし、この組み合わせではないにしろ、耳が垂れていることで軟骨異常があるのは明らかであり、症状は多かれ少なかれあると考えられます。

●症状

短足(前後)、硬直した尾、飛節(かかと)、手根骨、足根骨の異常(骨関節炎)などです。

痛みにより歩行に異常が出たり、特に飛節部位などにこぶのようなものができていたり、触ると嫌がる場所があったりする場合には、すぐに病院で診てもらいましょう。成長とともに病状の進行が止まる場合とそうでない場合があります。

 診断は異常の部位を確認するためにレントゲン撮影が必須ですが、これに加えて脊髄の異常を確認するためのCTを実施する場合もあります。

●治療法

残念ながら、対症療法と言って痛みに対する治療(鎮痛剤)や生活に不自由がないような工夫などをすることが現在の治療法です。

●予防法

遺伝病である為、予防と言うよりも”スコティッシュフォールドの垂れ耳は軟骨異常”と言う事実を再認識し、この猫種の体質と理解して付き合っていくことが重要です。人工的な交配で作り出した病気であることをしっかりと受け止める必要があります。


2.肥大型心筋症とは?

 肥大型心筋症とは、特定できる原因がないにもかかわらず、心筋(心臓を作っている筋肉)が心臓の内側に向かって分厚くなってしまう病気のことです。

●原因

家族性に発症すると考えられています。

心臓は左右に心房と心室がありますが、左心室(心臓の左の先端側の空間)に分厚く肥大する症状が出ます。心筋が肥大してしまうと、ポンプとして拡張しようとしても十分に拡張できなくなり、肺から心臓に血液が十分に入ることができず、最終的には肺に水がたまってしまうこともあります。

どの年齢でも発症する可能性がありますが、初めの内は、猫ちゃんには異常が認められません。飼い主さんが症状に気がつく頃には、大抵、病気はかなり進行しています。

●症状

運動不耐性(あまり動かない)、食欲不振、呼吸困難(口を開けたり、文字通り肩で息をする)、後ろ足のふらつき、舌や歯茎が薄いピンクや紫になる、失神などです。

後ろ足のふらつきは、この病気になると血液の中に血栓ができやすく、それが血流を障害していることで起きてくる症状です。

診断にはレントゲン、エコー、心電図、血液検査が必要となります。エコーでは一番重要な心筋の厚みや心臓の動き、血液の流れなどを見ることができ、この病気には絶対に欠かせない検査で、フォローアップの度に必要になってきます。

●治療法

 肥大型心筋症の治療は、例えば健康診断などで偶然に異常がわかり、初期段階の無症状の場合は経過観察をして定期的に検査を受けることをお勧めします。しかしながら、先に述べたような症状の一つでもあれば早急に治療を行います。その際の症状により入院をする状況も考えられますが、急な症状が一段落した後には心臓の機能を助ける内服薬や血栓がある場合には血栓ができないようにする内服薬がメインになります。また、症状の重篤な場合にはすぐに死に至ることもあり、一般的な予後はあまりよくありません。

●予防法

 原因が明らかな場合には予防も可能ですが、好発猫種である為、小さい時から毎年のように健康診断を受けることで早期診断に繋げるしかありません。進行性の病気である以上、早期に診断をして症状が軽い(或いは無症状)時から病気との共存を理解をしていくことが重要となります。


3.尿路結石症(尿石症)とは?

 一般的に太ったオス猫ちゃんは尿に石ができる子が多いですが、中でもスコティッシュフォールドは好発猫種として挙げられており、結石ができる場所も腎臓、尿管、膀胱、尿道と様々です。最近ではフードでも尿石症予防などと書かれているものが非常に多くなり、飼い主さんもこの病気を耳にする機会が増えたと思います。結石の種類で最も多いものは、ストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)やシュウ酸カルシウムで、他に尿酸アンモニウム、尿酸などがあります。

●原因

結石ができる原因として考えられていることは、フードや飲水量の変化、細菌感染などです。年齢は3歳ぐらいから5歳ぐらいまでに発症することが多いと言われています。

●症状

一番最初に飼い主さんが気がつくのは頻尿と血尿です。何度も何度もトイレに行くがあまり尿が出ていない、或いは血尿が出ていて大慌てになるのです。尿をする時にいわゆる”排尿痛”と言って非常に痛い疼痛を感じて、猫ちゃんが殺気立ったようになったり、最終的には結石が邪魔をして全く尿が出なくなりることがあります。この時点ですぐに病院に行かないと、非常に危険な状態になってしまいます。また、結石が尿管(腎臓から膀胱に通じる管)にある場合は症状があまりわからないことがあり、特にスコテッシュフォールドの場合はシュウ酸カルシウムの結石ができやすいという報告があります。

●治療法

 治療方法は結石の種類と場所によって変わってきます。

一般的な尿道(膀胱から外に出る管)の場合は、尿が全く出ていなければ管(カテーテル)を入れて”つまり”を解除して膀胱を洗浄しますが、元気が無くぐったりしている場合には非常に危険な状態で緊急処置となります。また、膀胱の触診(お腹から触る)をして尿が溜まっていないとわかると、尿が出ている証拠ですから、抗生物質や注射などの治療を行います。

どの場合もレントゲンやエコーで結石の存在と膀胱の状態のチェックが必要ですが、尿石が大きく自然に排泄されないと考えられる場合は手術で取り出すことになります。そして、一番重要なことは、結石ができにくいような処方食のみを食べさせるということです。結石によっては処方食で溶けることがあり、また溶けない場合は、それ以上作らせないことが目標です。この病気は結石ができやすい体質であることを理解して、決められたフード以外を食べないようにしなければなりません。処方食以外を与えた場合は、また同じことの繰り返しになる可能性があり、同じ処方食を食べなくなった場合には、必ず獣医師に相談をして下さい。

●予防法

 好発猫種ということで、この部分は予防ができませんが、尿結石と食餌の関係は明らかになっていますから、普段からフード内容に気を使いましょう。また、運動不足、肥満、ストレスは全ての病気に繋がりますから注意して下さい。そして、何より、新鮮なお水をいつも用意して飲めるようにしておきましょう。


4.外耳炎とは?

 外耳炎は、耳のピラピラした部分(耳介)から鼓膜までの部分(外耳道)で炎症を起こしている状態です。診断は耳垢の顕微鏡検査や外耳道の耳鏡検査で行います。

●原因

細菌や真菌(カビ)、耳ダニなどの寄生虫などが考えられます。また、耳掃除をやらないことで菌の繁殖を助長、或いはやる過ぎても外耳道を傷つけてしまい、外耳炎になることがあります。スコティッシュフォールドは耳が垂れていることで、普通の猫ちゃんよりも耳の中に湿気がこもり、細菌やカビが繁殖しやすい状態にありますし、耳掃除が難しいのが現状です。

●症状

耳をやたら掻いている、首を振っている、耳垢が沢山出る、耳が臭い、耳が腫れている、耳から出血している(引っ掻いた後に傷ができる)、などです。

●治療法

 外耳炎の治療には原因によって変わりますが、細菌や真菌の感染症の場合は点耳薬を使うことが殆どです。出血がひどく膿も出ているなどの重篤な症状の場合には内服薬も使います。耳ダニに関しては駆虫薬を使いますが、搔き壊しなどで出血している場合は抗生物質の内服薬を使ったりすることもあります。それ以外の原因があった場合には、それに応じての治療となります。また、治療している間は耳が敏感になっていることもあり、通院で耳掃除をするように指示されることがあります。

●予防法

 耳が垂れていることで耳掃除が難しいことは先に述べましたが、普段から、臭いが出ていないか、垢が沢山出ていないか、などをチェックしてください。そしてご自宅で耳掃除を実施する場合は、必ず一度獣医師に相談し、しっかりと耳の構造と耳掃除のやり方を理解した上で行って下さい。デリケートな部分ですから十分な注意が必要です。

上記のような症状を少しでも現れたら、

早期治療のためにすぐに診断してもらいましょう☆

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Category: ケアについて 病気・症状

About わんだほー先生

ペットくすりの公式キャラクターがお送りする、犬や猫のお薬や病気・健康維持についてのブログです。 ブログの内容は、獣医さんの監修ですが、同じ病気でも症状や個体差等により対応が異なることもあります。大切なペットのことですので、お薬の投与や症状に関しては、必ず実際に診察を行い獣医師の判断に従うようにしましょう。

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