獣医さんが教える!!高齢犬が注意すべき病気

By | 2017年12月13日
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    高齢犬で注意したい『がん』『僧帽弁閉鎖不全症(心臓病)』『慢性人疾患(腎臓病)』について解説します。

 犬も高齢になると、人間と同じように様々な病気の問題を抱えるようになります。飼い主の方が、ちょっと気になる症状で気軽に受診したら、実は重い病気だった、ということもよくあります。また、高齢犬に多い病気は残念ながら完治が難しい病気がほとんどです。ですので、なるべく早期に発見し、早期に治療を始めることで、元気な時間を長く保つことができます。

 そこで今回は、高齢犬によく見られる代表的な病気『がん(腫瘍)』『僧帽弁閉鎖不全症(心臓病)』『慢性腎疾患』について解説しますので、ぜひ高齢犬を抱えている方や、これから高齢を迎える犬と暮らしている方は必見です!

 

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► がん(腫瘍)

 『がん』とは、体の中の細胞が、体のバランス機能を無視して、勝手にどんどんと細胞分裂を繰り返し、大きな塊になったり、血液中にがん細胞がばらまかれてしまう病気です。

実は犬に限らず動物の体では、毎日のようにがん細胞が作られています。しかし通常は自分自身でがん細胞を除去する機能を持っているため、問題になることはありません。ところが何らかの原因でがん細胞を除去できなくなってしまうと、がん細胞が増えてしまい、がんを発症するようになります。ですので、がんは細胞分裂を行うどんな場所にでも発生します。犬では、皮膚の腫瘍や乳腺腫瘍(乳がん)が多く見られます。他にも脳腫瘍や肺がん、肝臓がんや前立腺癌など、様々な部位でがんが見られます。

 

  • 皮膚の腫瘍(皮膚がん)

皮膚のがんは、厳密には皮膚組織から発生したがんのことを指しますが、皮膚組織の下に存在する皮下組織に発生したがんも、実際には皮膚が膨らんだように見えることがから、皮膚組織、皮下組織のどちらのがんも『皮膚がん』として扱うことが多いです。

皮膚がんにも、肥満細胞腫や悪性黒色腫と言った悪性のがんや、脂肪腫、皮脂腺腫のような良性のがんなど、様々な種類のがんが存在しています。そして、それぞれのがんによって治療方法が異なるため、まずは動物病院できちんと診断を受けることが重要です。

【治療方法】

 基本的に『外科手術』で完全に取り除くことが優先されます。中にはリンパ腫のように化学療法(抗がん剤療法)が非常に高い効果を示すがんもありますし、場所によっては切除が難しいがん、あるいは犬が麻酔に耐えられないようなケースでは、放射線療法を行うこともあります。また、これらの治療方法を組み合わせることで、より治療効果が高まることもあります。ほとんどの皮膚がんは、その種類や発生場所、あるいは犬の持病や薬物に対する感受性など様々な要素を考慮して治療方法を決める必要があります。そのため、一頭一頭の状態を的確に把握して、かかりつけの先生と十分話し合った上で、その犬にとってより良い治療方法を選択してあげるようにしてください。

また、いずれの皮膚がんも、小さいうちに見つけてあげる、つまり早期発見が治療を行う上で重要になります。そのため日頃から犬とのスキンシップをしっかりと取るようにし、皮膚にしこりがないかこまめにチェックしてあげるようにしてください。

 

  • 乳腺腫瘍(乳がん)

 犬の乳腺腫瘍は、避妊手術をしていない雌犬に多く見られます。しかし避妊手術を受けた雌犬にも発生しますし、稀に雄犬にも見られることがあります。一般的には、その犬が生まれてはじめて発情する前(およそ生後7ヶ月齢まで)に避妊手術を実施することで、乳腺腫瘍の発生率を下げることができると言われています。また犬の乳腺腫瘍は50%が悪性で、残り50%が良性と言われていますが、最近の学術報告では日本国内のデータで約70%が良性だったという報告もあります。また、乳腺腫瘍は一つだけのこともあれば、複数発生することもあり、中には悪性と良性の乳腺腫瘍が混在していることもあります。

 犬の乳腺は、胸から下腹部にかけて広がっており、乳首は8個~10個存在しています。そのいずれの部位にも乳腺腫瘍が発生する可能性がありますので、日頃から乳腺付近にしこりがないかチェックしてあげることが重要です。

 

【治療方法】

 犬の乳腺腫瘍は外科手術による切除が治療の基本です。ただし、切除方法は様々で、腫瘍部位だけを切除する方法、片側の乳腺を切除する方法、すべての乳腺を切除する方法などがあります。どの手術方法を選択するかは、乳腺腫瘍の発生状況やその犬の状態によって決まります。また、乳腺腫瘍が過度に大きくなった場合は切除が難しくなったり、あるいは炎症性乳がんと呼ばれる外科手術不適応の乳腺腫瘍もあります。何れにしても早期発見が何よりも大切ですので、普段からのチェックをしっかりしてあげるようにしましょう。

 

  • 内臓の腫瘍

体の各臓器にもがんは発生します。しかし、どの臓器の腫瘍も初期はなんの症状も示さないことが多く、気付いた時には手遅れ、というケースが多々あります。がんは早期発見、早期治療で、完治できることもありますし、また元気に過ごせる時間を長く保つことができます。ですので、飼い主の方が気づきづらい内臓の腫瘍については、定期的に動物病院で健康診断を受け、早期発見に勤めることが重要です。

 

► 僧帽弁閉鎖不全症

 僧帽弁閉鎖不全症は、小型犬に多く発生する心臓病です。心臓は全身の血液を循環させるポンプの役割をしていますが、一定方向に血液が流れるように、心臓の中にはいわゆる逆流防止弁が作られています。その中の一つの『僧帽弁』が機能低下を起こし、血液の一部が逆流することによって様々な症状を引き起こすようになる、それが僧帽弁閉鎖不全症です。

 

【初期症状】

 こちらの病気はほとんど症状がわかりません。多くは、診察の中でたまたま心音の異常で気づくことがほとんどです。しかし、ある程度進行すると、乾いた咳をしたり、疲れやすい、呼吸が早いといった症状が見られるようになります。さらに進行すると、湿った咳、苦しくて伏せができなくなる、失神と言った非常に危険な状態に陥るようになります。

 

【治療方法】

 ほとんどがお薬による治療になります。ただしお薬による治療は、根本的に治すための治療ではなく、あくまで心臓の負担を減らし、長持ちさせるための治療です。ですので、基本的には一生、お薬を飲み続けることが必要ですし、それでもじわじわと病気は進行しますので、定期的に心臓の検査を受け、進行具合に応じてお薬の調整をすることが大切です。特に心臓の超音波検査は、僧帽弁閉鎖不全症の病態を把握するために非常に重要な検査ですので、治療を受ける際には必ず実施してもらうようにしてください。

また、最近では外科手術による根治療法も行われるようになってきました。ただしこの外科療法を実施できる施設は日本ではごく限られた動物病院になりますので、もし外科治療を考慮する場合は、かかりつけの獣医師に相談するようにしてください。

犬の僧帽弁閉鎖不全症は、進行すると非常に危険な状態になる病気です。そのため、なるべく早期発見、早期治療を行うことで、犬が楽に過ごせる時間を作ってあげることが大切です。

 

► 慢性腎疾患

 犬の慢性腎疾患は、以前は「慢性腎不全」と呼ばれていた病気で、高齢の犬に多く見られる病気です。腎臓の機能が低下してしまう病気で、「体の老廃物を尿へと排泄させる」という機能が失われるため、老廃物が体に蓄積し、様々な症状を引き起こしてしまう病気です。

【症状】

多飲多尿(たくさんお水を飲むようになり、薄い尿をたくさんするようになる症状)、体重減少といった症状のほかにも、元気食欲の低下、貧血といった症状が見られることもあります。さらには、尿毒症という状態に陥ると、独特の口臭や嘔吐下痢、口内炎、けいれん発作などの症状が見られるようになり、手遅れになると命を落とす危険もあるため注意が必要です。

また、慢性腎疾患の診断は血液検査や尿検査によって行われます。一般的には血液検査で腎臓の数値をチェックすることが多いのですが、実はBUN(血中尿素窒素)やCre(クレアチニン)と呼ばれる数値は、腎機能が70%以上失われないと異常値を示さないため、より早期に腎機能の低下を見つけられる尿検査や新たな血液マーカーが利用されています。また、それらの数値によって慢性腎疾患の進行度を評価することもできるため、できるだけ定期的にチェックするようにしましょう。

 

【治療方法】

 その病態によって異なりますが、大きく分けて、食事療法、薬物療法、輸液療法が中心になります。今のところいずれの治療も慢性腎疾患を完治させることはできず、あくまでも犬の負担を取り除く意味合いの治療になります。一部、研究レベルの治療で腎臓移植や再生医療を実施している施設もありますが、まだまだ一般的な治療方法ではありません。また、尿毒症が見られるような重度の腎疾患では、入院管理による輸液療法が重要になります。重度の容態を乗り越えた場合、あるいはそこまで重症ではない場合は、食事療法や薬物療法が中心になります。しかし、徐々には病気は進行していきますので、食事療法や薬物療法での維持が難しくなった場合は、通院での輸液療法を行うようになります。

 

▻ まとめ

高齢犬で多く見られる病気は、どれも『早期発見』が重要になります。そのためには日常生活の中で、犬の症状や体の異常に早く気付くことも大切ですし、また動物病院での定期健診を受けることも非常に有効です。

犬は多少の症状であれば、飼い主の方に気づかれないよう本能的に症状を隠してしまいます。ですので、見た目に元気=健康とは言えませんので、「うちの子は全然元気だから大丈夫」と考えるのではなく、いずれやってくる体の異常に対して、早く対処し、病気になっても元気な状態を少しでも長く保てるように注意してあげることが重要です。

 

 

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写真参照:

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Category: ケアについて 病気・症状

About わんだほー先生

ペットくすりの公式キャラクターがお送りする、犬や猫のお薬や病気・健康維持についてのブログです。 ブログの内容は、獣医さんの監修ですが、同じ病気でも症状や個体差等により対応が異なることもあります。大切なペットのことですので、お薬の投与や症状に関しては、必ず実際に診察を行い獣医師の判断に従うようにしましょう。

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