飼い犬のフィラリア予防薬飲み忘れ!次回の投薬のタイミングはどうすれば?
フィラリア予防薬を投与するのを忘れてしまった!そんなうっかりは誰にでもあることだと思います。今回の記事は、お薬を飲み忘れてしまった場合どうすれば良いのか不安担っている飼い主さんのためにお届けします。 ワンニャルド先生!お隣のハチ公のママが フィラリア予防薬の投薬を忘れてしもたんやって! ほほぉ。それは困ったね。 予防薬の投薬というのは忘れてしまいがちじゃからのぉ。 そうなんですよ。やらなあかんと思うてるのに、忘れてしまうんです。 あっ!お昼休憩の時間や。ランチ行ってきます! 食べることは忘れんようじゃの。やれやれ…。 このように、フィラリア予防薬を指定された日に投与し忘れることは、しばしばあることです。投薬を忘れた短期間の間にフィラリアに感染していないか、心配ですね。では、そんな時、どのように対応すれば良いのでしょうか。 今日のお題 フィラリア予防薬を投薬し忘れた時の対処法 フィラリアが体内で成長していく過程を知っておこう! そもそも、フィラリア予防薬とはどのようなものなのでしょうか? 順を追ってみていきましょう。 【フィラリア感染の仕組み】 ①犬の心臓や肺動脈に寄生しているフィラリアの成虫は、ミクロフィラリアというフィラリアの幼虫を血液中に放出します。 ↓ ②この血液を蚊が吸血し、蚊の体内で、第1期幼虫、第2期幼虫、第3期幼虫と成長します。 ↓ ③第3期幼虫まで成長した幼虫は、犬に対して感染性を持つため、第3期幼虫を体内に持つ蚊が犬を刺すと、フィラリアに感染します。 ↓ ④犬の体内に侵入した感染幼虫は、全身の筋膜下、皮下組織、脂肪組織、漿膜下、筋肉内などの部位で発育を続けます。 ↓ ⑤これらの部位を移動しながら、幼虫は犬に感染後約10日目で第4期幼虫に成長します。 ↓ ⑥約65日目には第5期幼虫になります。 ↓ ⑦感染後約3~4カ月で、幼虫は静脈に入り、心臓や肺動脈に移動して成虫へと成長します。 ↓ ⑧最終段階。成虫となると、自身もミクロフィラリアを排出し始めるのです。 フィラリア予防薬は、これらのフィラリアを予防できる薬ではありません。ミクロフィラリアが犬の体内で、筋膜下、皮下組織、脂肪組織、漿膜下、筋肉内などを移動している最中に効力を発揮し、幼虫を駆虫するものなのです。つまり、フィラリア予防薬は、正確には「駆虫薬」なのです。 投与を忘れたら、病院に行って検査をすべき・・・? では、フィラリア予防薬を投与し忘れると、どうなるのでしょうか?多くの人が慌てて「急いで病院に連れていって、検査しよう!」と考えるかもしれませんが、残念ながら、これは意味がありません。なぜなら、感染していたとしても、感染直後では、正確な検査結果が得られないからです。 フィラリアの検査には、抗体を検出する方法やミクロフィラリアを直接、顕微鏡で見つける方法などがありますが、これは既に成虫になったフィラリアがいてできる検査。そのため、検査をするには、感染した可能性がある時点から、6カ月間程度の期間が必要なのです。 次回分は必ず投薬。投薬をやめると感染リスクはアップする もし投薬予定日から、1週間程度の飲み忘れであればまずそのまま投与して問題ありません。しかし1カ月近く空いてしまった場合は、感染の有無は分かりません。また、1年間、飲ませなくても、感染しない場合もありますし、1カ月で感染してしまう場合もあり、状況によって様々です。 感染リスクは、フィラリアの多い都市周辺部や農村や山間部では高く、都市部では低いと考えられます。また、室内犬より、室外犬の方が蚊に刺される可能性が高いので、感染リスクも高いですが、これらはあくまで目安です。大切なのは、飲ませ忘れてしまっても、次回分は必ず飲ませることです。勝手な判断で投薬をやめてしまえば、感染リスクを更に増大させてしまいます。 感染を考えると、再度、投薬するのが怖い!どうすれば? もし投薬を忘れても、次回分は必ず投薬するということは理解できました。でも、既に感染していたら、フィラリア予防薬を飲ませると危険なはず。(参照:フィラリアに感染した犬猫への予防薬投与はダメ!) 結論から言うと、この場合は問題ありません。確かにフィラリアが犬の体内で繁殖して、ミクロフィラリアが血中に放出されている状態で、フィラリア予防薬を投与するのは、危険です。しかし上述した通り、ミクロフィラリアが血中に放出されるまでには、約6ヶ月の時間が必要です。そのため、ミクロフィラリアが放出される前であれば、予防薬を投与しても健康上問題ありません。 フィラリア予防薬を投与し忘れると、次の春の検査まで、フィラリア症に感染していないかどうか不安な気持ちで待つことになります。飼い主さんにとっては、精神的なストレスになってしまいます。そうならないために、フィラリア予防薬は忘れずに投与するようにしましょう。 ▼おすすめフィラリア予防薬 キウォフハート 研究者がこだわって開発した高品質のフィラリア予防薬。ワンちゃんが好むミート味での販売されています。 ストロングハートチュアブル 販売総数第一位を誇る、文字通り大人気のフィラリア予防薬。ビーフの香りで、食いつき抜群です。 レボリューション フィラリア薬とノミダニ駆除がこれ1本で完了。ネコの飼い主さんに特に人気の商品です。 ハートガードプラス 日本名ではカルドメックという名前。フィラリア予防薬人気NO.1のブランド。 参考資料 臨床検査シリーズ寄生虫鑑別アトラス メディカルサイエンス(1998) 新版家畜寄生虫病学 朝倉書店(1984) Photo By.http://www.flickr.com/photos/joelanman/366190064/