涼しくなっても要注意!!秋だから気をつけたい犬の3つの病気 その②
秋だから気を付けたい犬の3つの病気「アレルギー」につづき「マダニ寄生」「子宮蓄膿症」についてです。 ①実は秋に大量寄生する!?秋はマダニの季節です 春〜夏だけじゃなかった!?マダニは秋にも寄生する!? マダニは、いわゆるハウスダストなどに含まれるダニではなく、草むらなどから寄生するダニです。よく春先から夏にかけて、犬にマダニが寄生すると、犬の血液を吸ったマダニが膨らみ、小豆大ほどの大きさになって見つかることがよくあります。その一方で秋には、そのようなマダニを見かけることがあまり多くありません。しかし、実はマダニは秋口にも寄生のピークを迎え、実際に動物病院でも秋にマダニ寄生で多くの犬が来院します。さらに、最初は飼い主の方もマダニの寄生に気づかないことも多く、診断の中でマダニが見つかり非常に驚かれます。ではなぜ秋には目に見えるマダニが見つからないのでしょうか? ②犬が体を痒がっている、実はそれマダニかもしれません マダニには季節によって成長段階があり、春〜初夏にかけては「成ダニ」と呼ばれるいわゆる大人のマダニが寄生します。そのため血液を吸う前でもゴマ粒ほどの大きさで、目に見えるのですが、秋口のマダニは「幼ダニ」といって、体長1mm以下の大きさのため、よくよく注意してみないとほとんどの飼い主の方は気づかないのです。そんな幼ダニの寄生ですが、ほとんどは1匹2匹といった少数寄生ではなく、数え切れないほどの大量に寄生します。 そして寄生された犬はかゆみを訴えるようになり、手足を舐めたりかじったりするようになります。最初は飼い主の方も「何か皮膚病なのかしら」と考え、動物病院を受診されるのですが、いざ診断すると体からたくさんの幼ダニが見つかるため、非常に驚かれるのです。 ③マダニが寄生したらどうすれば良い? 成ダニの寄生と違って、幼ダニは非常に細かく、さらに犬の毛の奥に潜むため、物理的にすべてを取り除くことは非常に困難です。ですので多くの場合は、マダニの駆除薬を投与することで治療します。駆除薬は飲み薬のタイプや背中に滴下するタイプ、あるいはスプレーで全身に吹きかけるタイプなどがあり、それぞれ犬の状態などによって使い分けられますので、動物病院で相談しながら治療を進めるようにしましょう。 ④犬だけのためだけでなく、人間のためにもマダニ予防を!! そんな秋口にも寄生するマダニは、やはり予防薬を使って寄生しないようにすることが最も効果的な予防方法です。また、近年では様々なタイプの予防薬があり、投薬のしやすさや犬のコンディションによって使い分けることもできますので、あなたの犬にあった予防薬を取り入れ、ぜひ春から夏の暖かい時期だけでなく、秋、さらには地域のよっては冬もしっかりと予防するようにしてください。 よく、「草むらには入らないから、うちの子は予防薬は不要」とお考えの飼い主の方もいらっしゃいますが、実は普通の道路にある街路樹からもマダニは寄生しますので、外にでる犬は必ずマダニ予防を実施していただければと思います。 また、マダニ寄生は、マダニ自体が犬にかゆみなどの症状を引き起こすだけなく、バベシア症などの重い感染症を引き起こす原因にもなります。さらに犬に寄生するマダニの中には、人間に対して感染症を引き起こすウイルスを持つものもいます。ですので、犬の病気予防ためだけでなく、人間に対しての病気予防のためにも、必ず犬のマダニ予防はしっかりと秋冬も実施してあげるようにしましょう。 ⑤気づかないと命にかかわることも!?恐ろしい子宮蓄膿症について 子宮蓄膿症は、避妊手術をしていないメスの犬がかかることのある、非常に危険な病気です。細菌感染に侵された子宮の中に膿がたまってしまい、放置するとお腹の中で子宮が破裂したり、細菌の毒素が全身に回ってしまい、場合によっては命を落とすこともある病気です。 そんな非常に恐ろしい病気である子宮蓄膿症ですが、その発症メカニズムは、雌犬の発情と関係しています。一般的に雌犬の発情は、春と秋の年に2回と言われています。そして、ほとんどの子宮蓄膿症は、その発情に伴って起こる子宮内膜炎がきっかけで、細菌感染を引き起こし、子宮蓄膿症になってしまうと考えられています。つまり、子宮蓄膿症は発情後しばらくしてから発症することが多く、春と秋に見られることが多いのです。さらに出産経験のない6歳以上の雌犬はリスクが高いと言われていますので、注意が必要です。 ⑥実は気づきにくい!?子宮蓄膿症の症状について 子宮蓄膿症にかかると、発情が終わったはずなのに、再度おりものが見られることがあります。さらにはおりもの自体も濁った色や血膿のような色をしていることがあるため、そのような症状を認めたときは、すぐに動物病院を受診するようにしましょう。また、中には子宮口が閉鎖してしまっている場合だと、おりものが出ないことがあります。おりものが出ないと子宮の中に膿がどんどんとたまってしまうため、非常に危険なのですが、なかなか症状に気付きづらくなります。ですので、発情後、しばらくのうちに、元気や食欲がなくなる、お水をたくさん飲んで尿をたくさんするようになる、体が熱っぽいなどの症状が少しでも見られる場合には、早めに動物病院に相談するようにしましょう。 ⑦子宮蓄膿症の治療とその予後について 子宮蓄膿症を発症してしまった場合は、基本的には外科手術が必要になります。場合によっては、お薬で治療することもありますが、子宮蓄膿症は再発率が非常に高い病気のため、全身麻酔がかけられないほど弱っていたり、他にも病気を持っている場合を除いては、基本的には子宮と卵巣を摘出する手術を行うことが勧められます。 もちろん、体に大きな膿を抱えた状態ですので、手術にあたっての全身麻酔のリスクは、通常の避妊手術などに比べると高くなります。ですので手術にあたっては、十分な検査と事前の準備が必要になります。 無事に手術を乗り越え、術後、合併症が見られることがなければ、完治することは可能ですし、もちろん再発の心配も無くなります。 ⑤まとめ 子宮蓄膿症は、出産経験のない高齢犬に発症が多く、発情に関連して秋口にも多く見られます。また、その症状は気付きづらい事も多いため、注意が必要です。子宮蓄膿症は発症してから時間が経てば経つほど容態は悪化していきますので、怪しいなと思った時は速やかに動物病院を受診するようにしましょう。 【その他の記事】 ※ペットくすりではフィラリア薬やノミダニ駆除薬等、色々なペットのお薬を取り揃えています↓ 画像参照;http://www.flickr.com/photos/94159406@N00/13725748544 https://www.flickr.com/photos/46018179@N00/22977965019