ペットの虫歯
虫歯とは? 口内の歯垢の中にいる虫歯菌が酸を出し、その酸が歯を溶かす事によって、起こります。 虫歯菌の出す酸は、まず歯の一番外側にあるエナメル質を溶かします。この状態では、痛くありません。次に虫歯菌の出す酸は、象牙質を溶かします。この状態では、人間の場合、冷たい物や熱い物を食べた時に染みますが、動物の場合、そういう物をあまり食べないので、ほとんど痛みはないだろうと考えられています。その次は、歯髄が溶けます。これは神経です。この状態まで進行すると、ズキズキと痛みが出てきます。さらに進行すると、激しい痛みが伴い、膿が出てくる事もあります。 動物の虫歯野生動物は、通常、虫歯はほとんどありません。その理由は2つ考えられます。まず1つは、野生動物は虫歯菌が摂取する炭水化物や糖分をあまり飲食しないという事。もう1つは、野生動物が歯をダメにしたら、‘死’を招く事になるからです。実際、固い物を噛んだり、獲物を捕らえる時に強く咬み過ぎたりして、歯を欠けさせてしまったような場合は、野生動物でも虫歯になります。そうなってしまうと、肉食動物であれ、草食動物であれ、長くは生きられないと言われています。 ペットも、一昔前までは虫歯は滅多にないと言われていました。しかし、最近はペットにも虫歯はあるという事が、わかっています。 【ペットの虫歯の原因】ペットの虫歯の第一の原因は、人間の食べ物を与えられる事です。カワイイからと言って、人間と同じ物を与えてはいけません。虫歯だけでなく、歯周病や糖尿病、腎疾患など、他の病気の原因にもなってしまいます。また、ペット用の食べ物でも、おやつ類は炭水化物が多く含まれている事があります。ペット用であっても、おやつの与えすぎは、虫歯の原因になるので、注意が必要です。 【虫歯の予防と対策】 虫歯になってしまった場合、その治療には全身麻酔が必要となり、ペットの身体に大きな負担となってしまいます。出来る限り、虫歯は未然に防ぎましょう。現在、ペットの虫歯治療はかなり進化してきていて、最近では犬専門の歯医者さんも登場するようになりました。獣医師の監督のもと、人間の歯科医師が施術にあたるというスタイルです。かなりの高額医療になりますが、犬の義歯も可能になってきています。一般の動物病院でも、ただ悪い歯を抜くだけと言った治療は、少しずつ変化してきています。勿論、進行した虫歯は抜くしかありません。ですが、軽い段階の虫歯なら、削るだけで済む事もあります。しかし、虫歯はならないに越した事はありません。ペットの虫歯には、充分に注意しましょう。 歯石の除去は歯磨きでは出来ませんが、虫歯菌の温床となっている歯垢は歯磨きで除去する事が出来ます。日頃から歯磨きの習慣をつけておく事は、歯周病予防だけでなく虫歯予防の観点からも大切です。 参考資料 :「獣医歯科学と口腔外科」 LLL.Seminer (2002)http://www.denchan.jp/qa_new/ha_sikumi.htm photo by https://www.flickr.com/photos/ztephen/3739595875/