ちょっとマニアックな栄養素の話
ペットの栄養素 ワンちゃんネコちゃんに市販のペットフードではなく、手作りフードをあげたいという飼い主さんは、いるかもしれません。ですが、それはあまりオススメできません。手作りフードで、ワンちゃんネコちゃんの身体に必要な栄養素をすべて取り入れ、尚且つ、カロリーを必要な範囲内で収めるのには、膨大な知識と手間暇が必要だからです。現実に「手作りフードを与えている」というワンちゃんネコちゃんが動物病院に行くと、その多くにに栄養の偏りが見られるそうです。 ワンちゃんネコちゃんはドッグフード、キャットフードの「総合栄養食」と書かれたものと水を与えるのが、一番、栄養の偏りを防げます。「おやつ」と書かれたものを与えても良いのですが、それは主食にはなりません。おやつだけでは、やはり栄養が偏ってしまいます。また、ワンちゃんにキャットフードを、ネコちゃんにドッグフードを与えるのも、栄養の偏りを生じてしまいます。 人間はご存じの通り、雑食です。ワンちゃんやネコちゃんは、一般的には肉食の動物です。ただし、ワンちゃんはどちらかというと、雑食に近い肉食と言えます。 手作りフード派の方も、市販のペットフードを与えている方も、ワンちゃんネコちゃんに必要な栄養素を把握して、ペットの体調管理に役立ていただきたいと思います。 【栄養素の種類】ワンちゃん、ネコちゃんにとって必要な物、不必要な物とは? ●タンパク質身体の組織(筋肉・内臓・皮膚・被毛・血液など)の構成成分です。タンパク質は分解されると、ポリペプチドとなり、それはさらに小さくなって、アミノ酸となります。アミノ酸は全部で20種類もあります。これら全部を摂取しないといけないかというと、そうでもありません。自分の身体の中で合成できるアミノ酸もあり、それらは敢えて食物から摂取しなくても大丈夫です。ですが、自分の身体で合成できないアミノ酸は、口から摂取しなければなりません。そのアミノ酸の事を必須アミノ酸と呼びます。必須アミノ酸は動物種ごとに違います。 犬の必須アミノ酸は、イソロイシン、ロイシン、トリプトファン、トレオニン、フェニルアラニン、メチオニン、リジン、ヒスチジン、アルギニン、バリンです。猫の必須アミノ酸は、リジン、アルギニン、メチオニン、タウリン、トレオニン、トリプトファン、ヒスチジン、イソロイシン、バリン、フェニルアラニン、ロイシンです。タンパク質には、植物性と動物性がありますが、植物性タンパク質には、通常、アルギニン、タウリン、メチオニン、リジン、トリプトファンが含まれていません。動物性タンパク質には、犬猫にとってすべての必須アミノ酸が含まれています。そのため、ワンちゃんネコちゃんは「ベジタリアン」では、生きていけません。 ●炭水化物糖質が連なったものです。ネコちゃんでは、ほとんど必要としませんが、雑食性に近いワンちゃんの場合、ドッグフードにも、米や小麦、とうもろこしなどが含まれています。 ●脂質脂質はエネルギー源として、重要です。同量のタンパク質の2倍のエネルギーを供給してくれます。それだけでなく、脂肪酸や脂溶性ビタミンの供給源にもなります。 ワンちゃんの必須脂肪酸は、リノール酸です。リノール酸は、すべての動物で必要とされる脂肪酸です。リノール酸は動物性脂肪や植物性油のほとんどに含まれています。リノール酸はネコちゃんはリノール酸に加えて、アラキドン酸も必須脂肪酸に含まれます。アラキドン酸は、動物性脂肪の中にしか含まれません。 ●ミネラルミネラルは、カルシウム、リン、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、亜鉛、ヨウ素、銅などです。ミネラルは身体の生理機能を正常に保つために必要です。バランス良く摂取する事が必要で、多すぎても害になります。 ●ビタミンビタミンも、身体の生理機能を正常に保つ働きを持っています。脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンに分けられます。人間で必須となるビタミンCは、ワンちゃんネコちゃんでは、体内で合成できるため、必須ではありません。 このように、膨大にある必要な栄養素を理解し、ワンちゃんネコちゃんの体調も把握して、手作りフードだけで、体調管理をするのは非常に難しいです。手作りフードだけでという場合、市販のフードだけの場合、いずれにしても栄養の偏りが無いか、栄養不足や過多から病気になっていないかを、定期的に検査を受けてチェックが必要でしょう。 参考:ストライヤー生化学 東京化学同人 (1996)http://www.peppynet.com/library/archive/html/o0105_2.htmlhttp://www.necozanmai.com/nekoiku/eiyoso.html photo by https://www.flickr.com/photos/mr_t_in_dc/3186729628/