涼しくなっても要注意!!秋だから気をつけたい犬の3つの病気 その①
暑い夏が終わり、涼しい秋になると、人間も犬もとても過ごしやすくなりますよね。さらに犬にとっては熱中症や皮膚炎など、夏に多発する病気も多いため、秋の到来はなおさら安心できる季節だと思います。 しかし、秋は秋で犬にとって気をつけたい病気があります。そこで今回は実際に動物病院に来院される中で、特に診察させていただくことの多い、アレルギー、マダニ寄生、子宮蓄膿症についてお伝えします。 ①夏だけじゃない、秋にも悪化するアレルギー性皮膚炎 アレルギー性皮膚炎は人間だけでなく、犬にも大変多い病気です。アレルギー性皮膚炎は、主に食べ物が原因のアレルギーと、環境中の物質と接触することで引き起こされるアレルギーがあります。食べ物では牛肉や鶏肉、小麦やジャガイモなど、様々なものがアレルギーの原因物質になりますし、環境中のアレルギーもハウスダストや花粉をはじめ、樹木や牧草、昆虫に対するアレルギー反応など、こちらも実に様々な物質がアレルギーの原因となります。もちろん、犬の個体それぞれによって、反応するアレルギー物質は異なりますが、ほとんどの犬は、どれか一つだけの物質に対してアレルギーを起こすだけでなく、複数の物質に反応します。さらには、食べ物に対するアレルギーと環境に対するアレルギーの両方を持つ犬も多く、その原因物質の多さから、単純に「アレルギーだったら、その原因物質を避けていれば問題なし」ということも現実的には難しく、治療に非常に苦慮することが多い病気なのです。 ②秋口に悪化するアレルギー性皮膚炎とは? そんな厄介なアレルギー性皮膚炎、やはり梅雨時期から夏場にかけては、湿気や暑さのせいで皮膚のコンディションが悪くなるため、アレルギーによる皮膚炎自体も悪化することが多くなります。 しかし、実は涼しくなってきた秋口にもアレルギー症状が悪化してしまう犬がいます。これは人間でも「ブタクサ」などの草木によるアレルギーがあるように、犬でもそういった秋の草木、特にイネ科植物に対するアレルギーを持っているケースが多いため、秋口に皮膚炎がひどくなってしまうのです。 ③アレルギー性皮膚炎の治療とその注意点について 今では、それぞれの犬がどんなアレルギーを持っているかは、動物病院の検査で調べることができますので、すでにアレルギーを持っている犬、あるいはアレルギーが疑われる犬は、ぜひチェックしておくことをお勧めします。 また、いったんアレルギーによる皮膚炎が酷くなってしまった場合は、お薬による治療が必要です。この時、かゆみの症状を最も効果的に和らげてくれるのが、いわゆる「ステロイド」と呼ばれるお薬です。よくステロイドと聞くと、怖いイメージをお持ちの方も多いのですが、実はステロイド薬は、使い方さえ間違えなければ、非常に安全な薬です。しかし、どうしてもステロイドを使いたくない、という方は、今ではステロイドに変わる様々なお薬がありますので、獣医師に相談するようにしてください。 しかし、ステロイドを含め、これらのお薬はあくまで「対症療法」、つまり症状を緩和させているだけであって、アレルギー自体を根本的に改善させているわけではありません。そのため、お薬を飲んでいると一見皮膚がキレイになって「治った」と勘違いしてしまうと、その後、様々なトラブルの原因になるので注意が必要です。いわゆるステロイドの恐ろしいところは、この勘違いによるところが大きいため、ステロイドを含めお薬で治療する際には、きちんと状況を理解しながら継続していくことが大切です。 ④アレルギーの根本的な原因とその対処方法について アレルギーの根本的な原因は、実はアレルギー物質ではなく、犬の体自身にあります。つまり、健康な犬ではアレルギー反応が出ないような物質に反応してしまうのは、アレルギーを持つ犬の免疫機能が異常になっているからなのです。ですので、アレルギーを根本的に改善させたい場合は、この犬自身の免疫機能を正常にする必要があります。 しかし、現在の獣医療では犬の免疫機能を正常にできる治療方法は、残念ながら存在しません。つまり、完治させることはできない病気なのです。 ですが、食事療法やサプリメント、あるいはインターフェロンといった免疫調整剤による治療を取り入れることで、その免疫機能を整え、ステロイドなどのお薬に頼りすぎない治療を行うことも、場合によっては可能です。ただし、これらは数ヶ月から数年といった長期的な治療期間が必要になります。 少しでもお薬を減らして治療したい場合は、ぜひ取り組んでいただきたいです。 ⑤まとめ 犬のアレルギー性皮膚炎は、様々なアレルギー物質に反応しますが、中には秋の草木に反応する犬もいて、そういった場合には秋口に症状が悪化してしまいます。 一度、悪化してしまうと、かゆみによる犬の辛さを少しでも取り除くため、動物病院で適切な診察、治療を受けるようにしましょう。 また、食事やサプリメントなど、日常生活の中で適切な取り組みを行うことで、アレルギー症状を緩和できる可能性がありますので、アレルギーを持つ犬はぜひ取り組んでいただければと思います。 マダニ寄生、子宮蓄膿症は次回につづく 【その他の記事】 ※ペットくすりではフィラリア薬やノミダニ駆除薬等、色々なペットのお薬を取り揃えています↓ 画像参照;https://www.flickr.com/photos/64181484@N04/29701422722 https://www.flickr.com/photos/60896118@N07/26218859484