梅雨時期には要注意!犬の膿皮症、マラセチア、肺水腫!
こんにちは!オクスリラボです。 みなさん、いかがお過ごしでしょうか? 最近雨ばっかりで嫌になっちゃいますよね~。きっとペット達も梅雨明けを待ち望んでいるのでは( > <) 気温が上がり、さらに湿度も上がる、この梅雨の季節。デリケートな皮膚を持つ犬や、心臓に持病を持つ犬にとっては、思った以上に負担がかかる時期です。 そこで今回は梅雨に気をつけたい犬の病気のうち、代表的な、 膿皮症 マラセチア性皮膚炎 肺水腫 という3つの病気についてお伝えしていこうと思います。 膿皮症について 膿皮症とは 犬の膿皮症は、皮膚の細菌感染によって引き起こされる皮膚炎で、フケや脱毛、湿疹、かゆみなどが認められます。 最初は赤いポチッとした湿疹なのですが、放っておくと、どんどんと広がり、さらには他の場所にもできてしまうことがあります。 膿皮症は体中に起こりうる皮膚炎ですが、中にはアレルギー性皮膚炎など他の皮膚炎が併発しているケースもあります。 膿皮症の原因 膿皮症は細菌感染による皮膚炎ですが、その感染源となる細菌は、どこかから伝染したのではなく、『皮膚常在菌』と呼ばれる細菌による感染です。 皮膚常在菌は、通常は犬の皮膚に生息しているだけで、特に犬に有害な作用はなく、むしろ皮膚のバリア機能の一端を担う役割を持っていることがわかってきています。 しかし、何らかの原因で皮膚のバリア機能が破綻してしまうと、皮膚常在菌が異常増殖し、膿皮症を引き起こしてしまうと考えられています。 皮膚のバリア機能が破綻してしまう原因には、様々なものがありますが、慢性的に膿皮症を繰り返す犬の場合、アレルギー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎が原因となっていることが多く、これらは梅雨時期に悪化することが多い皮膚炎です。 そのため、梅雨の時期には膿皮症を患った犬が動物病院に多く来院するようになります。 膿皮症の治療方法 膿皮症は細菌感染による皮膚炎ですので、その原因菌に対する抗生物質を使用した治療が基本になります。 皮膚炎の場所が限られている場合は、塗り薬(外用薬)で治療できますが、多くの膿皮症は、見た目よりも広範に細菌感染を起こしていることが多いため、その場合は、飲み薬や薬用シャンプーを使用した薬浴などを行い治療します。 一般的には2〜3週間の治療で改善しますが、他の皮膚炎を併発している場合は、そちらの治療も行わないと、膿皮症も再発を繰り返すことが多く、なかなか治らないというようなことになります。 しかし、通常は膿皮症を正しい抗生剤で治療し、その他の皮膚炎が適切に管理されていれば、一度の治療で終わることがほとんどです。 膿皮症の予防方法 膿皮症は、皮膚のコンディションの悪化によって発生することがほとんどです。ですので、日頃からのスキンケアが重要で、適切なシャンプーを選び、適切な方法で洗いましょう。 皮膚のコンディションチェックには、動物病院だけでなくトリミングサロンを利用することも良いと思います。 さらには、日頃からのブラッシングも重要です。 皮膚を作るのに大切なのが、食事です。あなたの愛犬にあった食事を選ぶことも、膿皮症の予防につながります。 さらには、アレルギー性皮膚炎などの皮膚病を持っている犬は、管理をしっかりと行うことで、膿皮症の併発を予防することができます。 マラセチア性皮膚炎について マラセチア性皮膚炎とは 犬のマラセチア性皮膚炎は、マラセチア感染によって引き起こされる皮膚炎です。 マラセチア性皮膚炎は、強いかゆみと湿疹、脱毛やフケなどが認められます。通常は1ヶ所だけというよりは体のあちこちに病変が作られます。 また、マラセチア性皮膚炎は多くの場合、細菌感染も伴っていることがほとんどで、さらにはアレルギー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎などの皮膚炎を併発していることも多い皮膚病です。 マラセチア性皮膚炎の原因 マラセチア性皮膚炎はマラセチアという真菌(カビ)の一種によって引き起こされる皮膚炎です。 マラセチアは通常、皮膚の常在菌と同じように、正常な皮膚にもわずかに生息しています。 それが何らかの原因によって皮膚のバリア機能が破綻し、マラセチアが過剰に増殖し、それが炎症を引き起こすことで皮膚炎を発症します。 バリア機能が壊れてしまう原因には、刺激性の強いシャンプーなどによる接触性皮膚炎だったり、あるいはアトピー性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎など体の免疫的な異常によって発症する皮膚炎だったりします。 マラセチア性皮膚炎の治療方法 マラセチア性皮膚炎の治療方法は大きく分けて2種類あります。 まず、マラセチア自体を抑える治療方法です。それは抗真菌剤というカビの増殖を抑えるお薬を使う治療です。 抗真菌剤には飲み薬と塗り薬、さらには薬用シャンプーに配合したものがあり、状況によって使い分けます。ただし、抗真菌剤の中には、副作用が強いものもありますので、治療にあたっては注意が必要です。 もう一方の治療は、皮膚のバリア機能を正常化させる治療です。個人的には、アレルギー性皮膚炎など、元になる皮膚炎がある場合は、そちらの治療を行うことでマラセチア性皮膚炎も改善することが多いと感じています。 マラセチア性皮膚炎の予防方法 マラセチアは皮膚にもともと存在する真菌ですので、皮膚炎になるケースのほとんどは、何らかの原因で皮膚のバリア機能が破綻していることが要因です。 ですので、日頃から正しいスキンケアを行うことで、マラセチア性皮膚炎を予防することができると考えます。 正しいスキンケアとは、日頃のブラッシングや皮膚のコンディションチェック、正しいシャンプーの選択と間隔、良質な食事など、生活全般に及びますので、全て実践するのはなかなか大変です。 ぜひ動物病院やペットサロンなど、プロのアドバイスを受けながら実施していくことをお勧めします。 肺水腫について 肺水腫とは 肺水腫とは何らかの原因で、本来空気がたまるべき肺の中に水が溜まってしまい、それによって呼吸困難が起こる病気です。 肺水腫になると、咳(軽度だと乾いた咳ですが、重度になると湿った咳になります)、呼吸数アップ(パンティング)、チアノーゼ(舌が青紫色に変色する)などの症状が見られ、重度になると失神を起こしたり、場合によっては呼吸困難により命を落とすこともあります。 肺水腫の原因 肺水腫は熱中症や呼吸器疾患、心臓病などで発症します。 特に僧帽弁閉鎖不全症という心臓の弁膜症は小型犬に多く見られ、本来心臓のポンプ機能によって全身へ押し出される血液が一部肺の方へ逆流することで肺水腫を発症します。 その僧帽弁閉鎖不全症を持っている犬や短頭種などでは、ちょっとした暑さや湿気で容易に熱中症に陥り、肺水腫を発症するため注意が必要です。 肺水腫の治療方法 肺水腫は緊急的な治療が必要で、まずは温度管理と酸素化を行います。特に熱中症の場合は体温管理が重要ですし、肺水腫によって肺に空気が入り込むスペースが減ってしまうため、少しでも酸素を取り入れるため、酸素マスクや酸素ケージなどで十分な酸素化を行うことが重要です。 もしも失神したりして意識がないような時は、人工呼吸器につないで呼吸管理を行うこともあります。さらには、利尿剤や降圧剤などを投与し、肺から水を取り除く治療を行います。 肺水腫の治療は緊急を要するため、数時間の間に治療を進めていきます。ただし、緊急状態を脱しても、体全体のバランスが整うには数日から数週間かかるため、トータルの治療は長期に及ぶこともあります。 また、心臓病や呼吸器疾患が悪化したため引き起こされた肺水腫では、それらの治療も同時に行う必要があります。 肺水腫の予防方法 梅雨時期の肺水腫の予防は温度管理と湿度管理に尽きます。特に短頭種や心臓病を患っている犬は、温度だけでなく湿度による肺水腫のリスクも高いため注意が必要です。 少しでも「暑いな」「ジメジメするな」と感じたら、早めにエアコンを入れるようにしましょう。 ▼ペットくすりのマラセチアのお薬▼ イトラコナゾール 100mg15カプセル ニゾラル2パーセント 抗脂漏症シャンプー 抗真菌薬で、真菌の 成長を妨げます。 犬・猫両方に使用できます。 抗真菌薬ケトコナゾール2% 入りの 薬用シャンプー。 犬・猫両方に使用できます。 参照画像:https://www.photo-ac.com/main/detail/477404?title=紫陽花と一緒にボストンテリア&selected_size=m,https://www.photo-ac.com/main/detail/586799?title=てるてる坊主%203