Category Archives: 病気・症状

知っていますか?肥満から病気に、病気で肥満に!?

  人間にとってもそうですが、動物にとっても肥満は万病の元です!! 野生動物なら、太り過ぎる事はあまり考えられなかったのですが人間と共に暮らす動物・ペットにとって、肥満は身近な問題です。   理想体重は骨格の大きさによって様々ですが、理想体型はわかります。BCS(ボディーコンディションスコア)という値で肥満度を測るのですが、 【BCS3(理想体型)の場合】犬なら、「横から見ると腹部に凹みがあり、上から見ると腰に適度なくびれがある」猫なら、「腹部はごく薄い脂肪に覆われ、腰に適度なくびれがある」と記されています。 ただ、理想体重を知っておくことも大切です。理想体型を外れていると思ったら、一度、動物病院を受診し、獣医師に理想体重を尋ねると良いでしょう。   肥満の原因は、大抵は摂取カロリーオーバーです。犬猫は狩猟生活をしていた頃の本能で、常に空腹感を持っているのです。つまり、満腹になるくらいに食べてしまっては犬猫には多いのです。 「もっと欲しそうだから、ついついもう少しだけ」というのが、肥満に繋がります。 肥満になったことにより、散歩が億劫になったり、運動力が下がったり、関節や内臓に負担を与え関節炎や消化不良などを起こす確率が高く、またそれらは症状が深刻になって気づくことが多いので、肥満は病気の入り口であることを認識しましょう。       肥満は万病の元と言いましたが、病気が原因で太ってしまっているコもいます。その場合、早急な治療が必要になります。肥満に繋がる病気としては、クッシング症候群、甲状腺機能低下症、膵臓腫瘍などが挙げられます。   ●クッシング症候群は、体重の増加、特に腹部の膨大が見られます。毛が抜けてくるのですが、その脱毛部位は左右対称になる事が特徴です。糖尿病を併発する事も多い病気です。 ●甲状腺機能低下症は、猫では少ないのですが、犬にはよく見られる病気です。やはり、左右対称性の脱毛が見られ、活力が低下しますが、食欲は落ちません。 ●膵臓腫瘍はインスリノーマとも呼ばれ、インスリンという糖を脂肪として蓄えるホルモンが異常分泌します。犬の場合、膵臓に出来る腫瘍は、ほとんど悪性です。また、低血糖に陥り、それが原因で命に関わる事もあります。   このような病気の可能性もありますから、やはり肥満だと思ったら、自己判断せず、動物病院を受診するのが良いでしょう。 病気でなくても、太り過ぎてしまった犬猫にダイエットさせるには、カロリー計算が必須になります。 ペットフードの袋を読むと「このフードは何gで、何カロリー」もしくは「体重何kgなら、何gが適量」というのが、必ず書いてあると思います。 もし、今の体重が5kgで、理想体重が4kgなら、5kgの適量を与えては、食べ過ぎになります。それでは、5kgを維持する量になるからです。それよりも、少し減らした量が、ダイエットのためには適量になります。また、ダイエットするなら、基本的におやつはやめた方が良いでしょう。 ダイエットするための専用のペットフードもあります。これらは低脂肪であったり、低カロリーであったりして、ダイエットに適した工夫がされていますので、効率よくダイエットできるでしょう。   参考http://www.petful-life.jp/diary/study/dog_bcs.htmlhttp://www.petful-life.jp/diary/study/cat_bcs.html  photo by   https://www.flickr.com/photos/skunks/3384776503/

ペットにもある白内障!知っておきたい3つのコト

白内障は、犬にも猫にも人間にもある病気です。犬に比べて、猫には少ない病気ですが、近年ペットの白内障が増えている傾向があるようです。 ===============================================     ★ペットくすりでは白内障治療も目薬を取り扱っております★キャンC または、シーナックをご確認ください。                                                                                                                                 参考http://www.petwell.jp/disease/dog/hakunai.htmlhttp://dsmile.net/ photo by   https://www.flickr.com/photos/paperdollimages/240586836/

恐ろしいアジソン病。ペットが急死する可能性も!

アジソン病とは、イギリスの内科医トーマス・アジソンによって、発見された病気です。 副腎皮質と言われる部分の機能が低下する病気です。反対に副腎皮質の機能が亢進する病気をクッシング病と言います。  副腎は、腎臓の上にある小さな豆粒大くらいの臓器で、副腎皮質とはその臓器の外側の部分です。内側の部分は髄質と言い、皮質とはまた違う働きを担っています。 副腎皮質は、ステロイドホルモンを分泌しています。その副腎皮質の機能が低下するという事は、ステロイドホルモンが不足するという事です。 「ステロイド」という薬は、皆様ご存知でしょう。炎症を抑えたり、血糖値を上げたりする薬です。そのステロイドと同じものが、もともと体内で合成されているのです。それこそが、ステロイドホルモンで、その分泌場所が副腎皮質なのです。   副腎皮質からはステロイドホルモン以外にも、アルドステロンというホルモンが分泌されています。アルドステロンは、体内のイオンバランスを調節しています。具体的に言うと、低ナトリウム高カリウムになります。この状態は、心停止にも繋がります。アジソン病は、クッシング病に比べて、稀な疾患ではあります。10万頭中36頭くらいしか罹らないと言われています。 ただし、適切な治療を迅速に行わなければ、ショック状態に陥って、急死してしまう恐ろしい病気と言えます。稀な疾患故に診断が遅れると、取り返しのつかない状態になってしまう事もあり得るのです。   アジソン病の治療法ですが、まず理解しておかなければならないのは、 「この病気は「治らない」という事です。」 薬は一生飲ませ続けなければなりません。薬を飲ませたら、元気になりますが、元気になったからと言って、薬をやめてしまってはいけないのです。 使われる薬は、アルドステロンの代わりとなるフロリネフ、コートリル、DOCPや、ステロイドホルモンの代わりとなるプレドニンなどです。 この中でフロリネフは大変高価な薬ですが、先に示したように、残念ながらこの病気になると、一生飲ませ続けなければならなくなります。 先にも書きました通り、原因は免疫などの異常でも起こりうるので、 日々のケアだけで防ぐことは難しいですが、早期発見と適切な投薬でペットの身を守りましょう。    ▼おすすめアジソン病治療薬 フロリネフ フロリコット 動物病院でも 出されるお薬。 動物病院よりもお安く お買い求め頂けます! フロリネフの ジェネリック。 病気と長い付き合いに なるからこそ、 少しでもコストカット! 1996)http://bordercollie.k-server.org/vet/addison.html#1 慢性原発性副腎皮質機能低下症とは  photo by  https://www.flickr.com/photos/kokjebalder/212798914/

子犬に多い皮膚病「アラカス(ニキビダニ)」

最近、複数の方からお問合せ頂いたのが「アラカス」という、ニキビダニを原因とした皮膚病のこと。流行の兆しでしょうか?どんな皮膚病なのか、ご紹介します。 毛穴の中に寄生する小さなダニ「ニキビダニ」ニキビダニ症、アカラス、毛包虫症、デモデックスなどと呼ばれる病気をご存知でしょうか?呼び方はいろいろですが、全て同じ寄生虫による皮膚病のこと。毛穴の中に寄生する小さなダニです。 犬に多いダニで、稀に猫にも寄生しています。ニキビダニはヒトにもいますが、ヒトに寄生するニキビダニと犬や猫に寄生するニキビダニとは種類が違うので、ペットからヒトに感染する心配はありません。   抵抗力が弱まると症状が出る皮膚病このニキビダニは、少量なら健康な動物にも寄生しています。体が弱っている時や、もともと抵抗力のない子犬や老齢犬で、症状があらわれます。特に子犬に多い皮膚病です。 ニキビダニの寄生部位は、二次感染を起こし、膿疱、膿瘍が形成されます。またアレルギーを併発している場合も多くあります。   治療法は殺ダニ剤の投与診断は、皮膚を引っ掻く専用の器具で、少し出血するくらい皮膚を引っ掻き、水酸化カリウム液と混ぜて、顕微鏡で観察。ニキビダニを確認します。 治療法は、ニキビダニの虫体に対しては、有機リン剤、カーバメント剤、ホルムアミジン類と呼ばれる殺ダニ剤を使用します。外用で治療する場合も内服で治療する場合もありますが、どちらにしても、根気のいる治療が必要とされます。   ステロイド剤は絶対にダメ二次感染には抗生物質を使用し、アレルギーに対しては抗アレルギー剤を使用します。ただし、ここで禁忌となるのはステロイド剤の投与です。通常、アレルギー治療ではステロイド剤が重要な薬剤となりますが、ニキビダニ症では症状を悪化させてしまうので要注意です。動物病院でもニキビダニを正しく診断できず、間違えてステロイド剤を処方し、悪化させてしまったという例もありますので、ご注意ください。   参考資料新版家畜寄生虫病学 朝倉書店(1998) Photo By http://www.flickr.com/photos/lukema/9613748751/  

便秘を軽く考えないで!怖い病気の予兆かもしれません。

お散歩に行っても、踏ん張るばかりでなかなか排便してくれない我が家のワンコ。見ているこちらも力んでしまいそうになるほど。出るか出るか、出なかった!なんていう、愛犬の便秘で困った経験はありませんか?ワンちゃんたちに起こる便秘の原因と改善策をご紹介します。   今日のお題 犬の便秘の原因とは?!   便秘チェックリストを確認!このような症状ありませんか? ● 散歩の最中やトイレでウンチをするそぶりを見せない ● いきんではみるものの、途中であきらめてしまう ● ウサギの糞ようなコロコロとしたウンチが出る ● いつもよりも細いウンチが出る ● 一日のウンチの量がいつもより少ない ● 触るとお腹が張っているような感じがする ● 食欲がない うちのワンコにあてはまる!と思ったら、便秘を疑ってみましょう。このチェックリストは、便秘の兆候を示したもの。愛犬が便秘になってる可能性がありますよ。1日くらいの便秘なら慌てる必要はありませんが、2日以上続いたらケアが必要です。 便秘の原因と改善策を考えてみましょう。 犬の便秘の原因にはどのようなものがあるのでしょうか?人間と同じように食生活や生活の変化など、様々な原因が考えられます。 ① 食生活に変化や食べすぎはありませんか? 便秘の原因のひとつは、食生活の変化。ドックフードを突然変更した場合などにも起こります。ドッグフードの主成分である肉=タンパク質は、消化の過程で腐敗物質となり、悪玉菌を増やし腸内環境を悪化させてしまいます。この悪玉菌が腸の動きを滞らせて便秘を引き起こすのです。 また、煮干しやガムなどを犬に求められるがままに与えてしまったり、健康のためにと食物繊維やカルシウムを与え過ぎてしまうと、便が硬くなってしまうことがあります。 こういった食生活の変化を原因とする便秘は、幼少期などの食生活が変わるときに起こりやすい傾向にあります。便秘かな?と思ったら、まずは食生活を見直してあげましょう。 ●解決策●  ——————————————–———— 食生活の変化に伴う便秘の改善策には、 ①十分に水分を摂取しましょう ②腸内の善玉菌を増やしてあげましょう(サプリを与えるなど) ③運動量を増やすために、散歩をしたり公園で遊びましょう このような方法があります。 簡単に実施できる対策ですので、便秘でなくても実行できるといいですね。   ②犬がストレスを感じていませんか? 犬も人間と同じで、ストレスを感じる動物です。ストレスがかかると、自律神経の調節がうまく行かず、腸の動きが悪くなってしまい、便秘になることも。 引越しをした!などの大きなできごとでなくても、日課のブラッシングをやり忘れた、散歩時間が変わった、運動量が少ないなど些細なことが原因の場合もあります。発情時期の前後にも便秘が起こることがありますので、ワンちゃんの毎日の変化を観察してあげましょう。 ●解決策●  ——————————————– ペットの生活が、いつもと異なる生活リズムになっていないか、確認しましょう。「いつも通り」に戻せるかどうか、検討してみましょう。   ③加齢のせいで、排出できなくなっているのかも・・・! 犬も人間と同じで、年をとると筋肉が衰えるなどして肉体的に老化していきます。そして、便を外に出す力が弱まり、便秘を引き起こしているのかもしれません。 ●解決策●  ——————————————– 加齢による便秘かな?と思ったら、消化の良い食べ物に変えたり、水分を多く含んだウェットフードに変えてあげましょう。水溶性の食物繊維を与えることも効果的です。   本当に怖い便秘の原因は、これだ! たかだか便秘と考えがちな、犬の便秘ですが、様々な疾患と関係している場合にも容易に起こります。人間と違って言葉で表すことができないため、便秘くらいと軽く考えはいけません。 怖~い便秘の原因はこれ ①異物(玩具・靴下等)を誤食し、腸が詰まったことによる便秘。 ②肛門周囲に肛門嚢の炎症や前立腺の炎症、膣や子宮の炎症などの炎症が起こっており、痛みのために排便できないことによる便秘。 ③前立腺肥大、骨盤骨折、会陰ヘルニア、鼠径ヘルニア、消化管の腫瘍3など物理的障害があり排便できないことによる便秘。 これらが原因の場合、その他の症状、例えば食欲不振、元気消失、嘔吐、疼痛、歩行困難などの症状がみられることが多いのでよく観察し、便秘以外の症状もあるようなら、できる限り早めに動物病院を受診しましょう。状況によっては重篤な場合もあり、単なる便秘と思い込んでしまうと大変危険です。 たかが便秘、されど便秘。便秘から大病を発見するかもしれません。毎日のコミュニケーションの中から、小さな変化に気づける飼い主になってあげてくださいね。   便秘のお薬を探してみよう! マイクロラックス 便秘の犬に最適な浣腸。人間のお薬としても有名な浣腸です。 ラクサペット(下剤) 軽い便秘や毛玉症の予防改善におすすめのお薬。犬猫用の軽度の下剤です。 photo by. http://www.flickr.com/photos/ashleysteel/8555199337/  

狂犬病の予防、忘れていませんか?

今回は、狂犬病の予防についてです。狂犬病は一旦発症すると治療方法はなく、死に至る恐ろしい病気です。 正しい知識を知り、しっかりとした予防を行うために学んでいきましょう。 ワンニャルド先生、狂犬病の予防について教えてください。   勉強熱心でよろしい!それでは今日も狂犬病について解説しよう~!   ・・・ワンニャルド先生、なんか調子にのってません?! はよ、教えてください~! 今日のお題 狂犬病の予防法を知っていますか? 狂犬病は一旦発症すると治療方法はなく、死に至る恐ろしい病気です。 予防注射することで、感染は防げなくても発症を予防することができます。 しっかりと予防注射を受けさせることで、飼い犬や飼い猫を狂犬病から守ることはもちろん、共に暮らす家族、近所の住人や、他の動物への感染を防止できます。 日本での狂犬病に対する予防法 日本では犬に対して狂犬病予防法が以下のように定められています。 狂犬病予防 (1) 現在居住している市区町村に飼い犬の登録をすること (2) 飼い犬に年1回の狂犬病予防注射を受けさせること (3) 犬の鑑札と注射済票を飼い犬に装着すること 91日齢以上の犬の所有者は、その犬を所有してから30日以内に市町村への犬の登録と 毎年の狂犬病ワクチンの接種。毎年1回、4月~6月までに狂犬病予防注射を受けることが義務となります。 ペット輸入ブームと狂犬病蔓延の懸念 日本では現在、狂犬病清浄国であるため狂犬病に感染する確率はかなり低いですが、世界では毎年50,000人以上が感染し死亡しています。 最近の小型犬ブームを背景に輸入頭数が増加しており、海外から(清浄国でない国から)狂犬病を持ち込むことが懸念されております。 このため、農林水産省では狂犬病予防法に定める犬等の輸出入検疫制度が見直され、180日の待機期間の設置なやマイクロチップの導入及び血液抗体検査等が義務付けられました。  このように世界規模で言えば、まだ蔓延している感染症であること、感染源が感染した温血動物のため、コウモリやキツネなどの野生動物からの感染する可能性(北アメリカではコウモリが主な感染源)もあるため、狂犬病清浄国といえども予防が必要となります。 現在、日本で接種できる狂犬病ワクチンは、皮下に注射するタイプのものしかありません。注射は地域によっては狂犬病集団予防注射を実施しています。 集団予防注射以外でも、各開業獣医師で狂犬病予防注射と、狂犬病予防注射済票の交付が受けられます。ただ一部の動物病院では、狂犬病予防注射済票の交付の手続きができません。 その場合手続きは、飼い主ご自身で行って頂く形になります。詳しくはお住まいの動物病院、関係役所までお問い合わせください。 狂犬病ワクチンに対するアレルギー ワクチンに対してのアレルギーは人間と同様に存在しますが、ワクチンアレルギーの発生頻度は、極めて稀です。 ただ、注意しなくてはいけない点としては、過去に何度もワクチン接種を受けアレルギー症状が出なくても、その時の健康状態などよっては唐突に発生することがあります。 元気がなくなる、食欲不振、軽い発熱といった軽度の症状から呼吸困難、チアノーゼといった重度な症状と様々です。 そして、頻繁に見られるのがムーンフェイスとよばれる顔面のかゆみ、腫れを特徴とした変化です。死に至るケースもあるので症状がでたらすぐに病院を受診しましょう。 ワクチン接種後からアレルギー反応が出るまでの時間は、呼吸器・循環器の症状を示すものは早く、およそ2,3分~1時間以内に起こることが多いようです。 これに対して皮膚症状単独のものは2,3分~24時間以内と時間に幅があります。そのためワクチン接種の際は健康な状態であるのを確認しできれば、午前中に受診し一日様子みれるようにするとよいでしょう。 photo by.  http://www.flickr.com/photos/littlelovemonster/6082061408/  

狂犬病は犬だけのもの?猫には関係ない?

犬には年一回の予防接種が義務付けられている狂犬病。猫を飼っている家庭にはそのような義務がありません。狂「犬」病だから犬だけのものなのでしょうか。今回は犬以外の狂犬病についてもスポットを当ててみます。 ワンニャルド先生、狂犬病って怖いですねぇ。   あたし猫に生まれて良かったですワ!   ミーナス。まさかと思うが、君は狂犬病を 犬だけの感染症だと思っているのかね?   え!違いますのんか!   今日のお題 狂犬病は、犬だけのもの?それとも他の動物にも感染するもの?   狂犬病は、狂犬病ウイルスに感染した動物に噛まれたり、傷口、目や口の粘膜をなめられたりすることによって感染します。狂犬病が繁栄しているアジア(特にインド、中国など)、南米、アフリカでは犬に噛まれることによる感染が多いものの、野生動物などの他の動物種からも感染する可能性があります。   アライグマ、キツネなど感染源は様々。 野生動物からの狂犬病感染とは、いったいどのような動物からなのでしょうか?具体的な事例をみていきましょう。アメリカではアライグマやスカンク、コウモリ、ヨーロッパではキツネ、アフリカではジャッカルやマングースが狂犬病の感染源となっています。もちろん、ネコや馬、牛などが感染し感染源となることもあり、事例は代表的なものです。 珍しい事例として報告があるのは、2013年の台湾で確認された狂犬病。世界で初めて、ジャコウネズミへの狂犬病の感染が確認されました。ちなみに日本国内では、1957年に猫への感染が確認されたことを最後に、完全に撲滅されています。   狂犬病対策は複雑。牛やコウモリへの対策は…? 野生動物の間で狂犬病が蔓延している国では、狂犬病対策は複雑です。牛にワクチン接種を実施している国もありますし、ドイツやスイスでは野生のキツネに対して狂犬病ワクチンを混ぜたエサを蒔きワクチン接種を行っています。 ラテンアメリカのような吸血コウモリが狂犬病を保有している地域では、コウモリが生息している洞窟ではウイルス濃度が非常に高く、気体に浮遊しているエアロゾルを接種するだけで感染するといった恐い話もあります。これらの地域では家畜に抗凝固剤を投与し、その血を吸ったコウモリが死ぬように対策しています。   日本が犬だけに予防接種を義務付けた理由 日本では現在、狂犬病の予防接種は犬のみに義務付けられています。その理由は、 ①  日本は島国のため、感染した野生動物が他の地域から入ってこないこと。 ②  野生動物に狂犬病ウイルスが侵入しなかったこと。 ③  犬が昔から最も人間の身近に存在し、高い攻撃性を持つことから人間や他の動物を咬みやすく狂犬病ウイルスの伝搬において最も危険性を持つ動物だったから。 こういった理由で亜、犬のみを予防することを義務づけするようになりました。猫にも狂犬病ワクチンを接種することは可能ですが、犬のように法律に定められた義務はありません。実際、狂犬病清浄国ではないアメリカでは犬、猫共に狂犬病ワクチン接種を義務づけている地域もあります。 海外へ渡航する時や帰国時(輸出入時)には、猫にも狂犬病ワクチン接種を義務付けている地域がありますので、輸出入を行う場合には大使館、動物検疫所などで確認する必要性があります。   photo by. http://www.flickr.com/photos/markjsebastian/633630013/  

狂犬病とは、どんな感染症なのでしょうか?

狂犬病、よく聞く名前だけど、実はどういった病気なのか知らない飼い主さんがたくさんいます。狂犬病というけれど、犬だけでなく人間にも感染の可能性のあるこの病気。いったいどういうものなのでしょうか?   今年も狂犬病の予防接種の時期が来ましたね。   そうじゃの、4月から6月の間に予防接種が義務付けられておるからの。   日本にはまだ狂犬病、あるんやろうか? そもそも、狂犬病ってなんなの!ね~ぇ?   君はまったく、あっぱれな性格じゃのぉ。   今日のお題 狂犬病って、どんな病気か知っていますか? ワンちゃんの飼い主さんたちに義務付けられている狂犬病の予防接種。狂犬病は、人間を含むすべての温血動物(常に体温が一定の動物)に感染の可能性があり、発症するとほぼ確実に死亡してしまう恐ろしい病気です。 日本は狂犬病発生件数ゼロの清浄国。 狂犬病は、日本、英国、オーストラリア、ニュージーランドなどの一部の国を除いて、全世界に分布している感染症です。日本国内では、1957年に猫で発生したのを最後に発生がありません。(人間での発症は1956年が最後)そのため、日本は狂犬病の発生のない国として指定されています。しかし狂犬病流行国で犬に咬まれ帰国後に発症した輸入感染事例が、1970年にネパールからの帰国者で1例、2006年にフィリピンからの帰国者で2例あります。 日本は、完全な清浄国であるものの、狂犬病流行国で犬に咬まれて感染したり、狂犬病発生地域の外国船の乗組員が検疫を受けずに犬を上陸させたり、置き去りにしているケースも日本の港湾地区では確認されており、感染の可能性はゼロだといは言い切れません。 狂犬病は、主に感染した動物に咬まれた傷口から「ラブドウイルス」が侵入することにより感染する感染症です。ウイルスは軟部組織から神経細胞を伝わって脳に移行し、脳内で爆発的に増殖。その結果、中枢神経障害があらわれます。また感染した動物は唾液腺内でも増殖し、唾液中にウイルスが排出されるようになります。   狂犬病の症状って、どういうもの? では、どのような症状が出るのでしょうか。人の場合は、潜伏期間は7日から数年、通常は2週間から80日程度です。発病するかどうかは、噛まれた傷口の大きさや体内に入ったウイルス量などで大きく変わります。発熱、頭痛、全身倦怠、嘔吐などの不定症状で始まり、噛まれた部位の異常感覚の症状が出ます。 ついで、筋肉の緊張、幻覚、けいれん、嚥下困難などが起き、液体を飲むとのどがけいれんを起こし、激しい苦しみのために水を怖れるようになります。これが別名恐水症といわれる症状です。最後は、犬の遠吠えのようなうなり声をあげ、大量のヨダレを流し、昏睡、呼吸麻痺の末に死亡してしまいます。   犬の症状は人間とは少し違うもの 犬の場合、感染してから2週間から2カ月程度で発病。むやみに歩き回り、柱や石などの物体に噛みついたり、地面を無意味に掘る、狼のような特徴的な遠吠えをあげるなどの異常行動をとります。麻痺は末端から始まり、次第に脳に近づいていきます。 中には、興奮の症状がみられず、いきなり麻痺が始まることもありますが、最終的には昏睡状態に陥り、100%死に至ってしまいます。犬は人間のように水を恐れるいわゆる恐水症の症状は見られません。   狂犬病はワクチン接種で予防できる感染症。 恐ろしい狂犬病ですが、予防できる感染症です。ワクチン接種が極めて効果的であるため、犬には年に一度の予防接種が義務付けられています。人の感染のほとんどが犬からの感染によるもの。そのため、猫にワクチンを接種しなくても、犬にワクチンを接種することで十分に予防効果があると言えます。人間の場合には、次のような方法で接種が行われます。 【感染前接種によるワクチン接種】 1つは、他の感染症でも一般的に行われている感染前接種(予防接種)です。流行地への旅行者、研究者、獣医師などに接種することが勧められています。 【感染可能性後のワクチン接種】 もう一つは、感染動物に噛まれた後(暴露後)での接種です。本病は潜伏期間が長いので、咬傷後、傷口を丁寧に洗浄し、ワクチンを接種することで発病を十分防ぐことが出来ます。 恐ろしい狂犬病ですが、日本では狂犬病の発生が確認されていないこと、十分に予防ができることから、適切な処置をしていれば心配はありません。 Photo By. http://www.flickr.com/photos/smalltownguy22/3374551082/