恐ろしいアジソン病。ペットが急死する可能性も!

アジソン病とは、イギリスの内科医トーマス・アジソンによって、発見された病気です。 副腎皮質と言われる部分の機能が低下する病気です。反対に副腎皮質の機能が亢進する病気をクッシング病と言います。  副腎は、腎臓の上にある小さな豆粒大くらいの臓器で、副腎皮質とはその臓器の外側の部分です。内側の部分は髄質と言い、皮質とはまた違う働きを担っています。 副腎皮質は、ステロイドホルモンを分泌しています。その副腎皮質の機能が低下するという事は、ステロイドホルモンが不足するという事です。 「ステロイド」という薬は、皆様ご存知でしょう。炎症を抑えたり、血糖値を上げたりする薬です。そのステロイドと同じものが、もともと体内で合成されているのです。それこそが、ステロイドホルモンで、その分泌場所が副腎皮質なのです。   副腎皮質からはステロイドホルモン以外にも、アルドステロンというホルモンが分泌されています。アルドステロンは、体内のイオンバランスを調節しています。具体的に言うと、低ナトリウム高カリウムになります。この状態は、心停止にも繋がります。アジソン病は、クッシング病に比べて、稀な疾患ではあります。10万頭中36頭くらいしか罹らないと言われています。 ただし、適切な治療を迅速に行わなければ、ショック状態に陥って、急死してしまう恐ろしい病気と言えます。稀な疾患故に診断が遅れると、取り返しのつかない状態になってしまう事もあり得るのです。   アジソン病の治療法ですが、まず理解しておかなければならないのは、 「この病気は「治らない」という事です。」 薬は一生飲ませ続けなければなりません。薬を飲ませたら、元気になりますが、元気になったからと言って、薬をやめてしまってはいけないのです。 使われる薬は、アルドステロンの代わりとなるフロリネフ、コートリル、DOCPや、ステロイドホルモンの代わりとなるプレドニンなどです。 この中でフロリネフは大変高価な薬ですが、先に示したように、残念ながらこの病気になると、一生飲ませ続けなければならなくなります。 先にも書きました通り、原因は免疫などの異常でも起こりうるので、 日々のケアだけで防ぐことは難しいですが、早期発見と適切な投薬でペットの身を守りましょう。    ▼おすすめアジソン病治療薬 フロリネフ フロリコット 動物病院でも 出されるお薬。 動物病院よりもお安く お買い求め頂けます! フロリネフの ジェネリック。 病気と長い付き合いに なるからこそ、 少しでもコストカット! 1996)http://bordercollie.k-server.org/vet/addison.html#1 慢性原発性副腎皮質機能低下症とは  photo by  https://www.flickr.com/photos/kokjebalder/212798914/

顔に穴が開く!?犬猫の歯周病の恐ろしさ!

歯周病の原因とは? 歯周病は大人のワンちゃんネコちゃんに、多く見られる病気です。 食物のカスが歯に付いて、それが歯垢となり、歯垢が石灰沈着して歯石となります。 歯石は歯磨きではとれません。動物病院で全身麻酔をかけてとる事になります。 歯肉の炎症(歯肉炎)と、それがさらに進行し、歯の周りの組織が破壊された状態(歯周炎)の事を合わせて「歯周病」と呼びます。     歯周病の進行と症状 口の中から顔の表面に向かって穴が開きます。「顔を怪我したようです」と言って、動物病院に連れて来られるペットの多くが、実際には顔の怪我ではなく、進行した歯周病なのです。 ※穴が開くのは、顔の表面だけではありません。上顎に穴が開き、口の中と鼻の穴の中が繋がってしまう事もあります。この場合でも、飼い主さんは歯周病だと気付かず、「クシャミがひどくて、鼻水や鼻血が出ます」と言って、鼻の病気だと思って動物病院に連れて来られる事が多くあります。   上記のような症状で病院を訪れた場合、獣医師は必ず口の中をチェックするでしょう。 そこで初めて、歯周病の進行したものであると気付く事が多いのです。 歯周病で穴が開いてしまえば、自然に塞がる事はありません。 当然、手術が必要になります!! ところが、歯周病になると、口の中の細菌が血流に乗って移動し、歯周病は心臓や肝臓、腎臓などの臓器に影響を与える事が多いのです。これらの臓器に異常があると、全身麻酔は命がけのものとなってしまいます。   ====最後に==== 歯周病は多くのワンちゃんネコちゃんがかかる病気ですが、甘く見ると大きな病気や手術に繋がってしまいます。 日常的なデンタルケアで十分に防ぐ事ができますので、飼い主さんがしっかり行いましょう!   ペットくすりでは、犬猫の歯磨きにの仕方について詳しく解説しています。こちらの記事もオススメです↓↓歯が命!愛犬と愛猫の正しい歯磨き    デンタルフレッシュ 犬用503ml デンタルフラッシュ 犬猫用 飲み水にまぜるだけ。 歯垢、歯石、臭いを防止。 ペットが水を飲むと同時に 口腔内を洗浄します。 口臭が気になるペットに。 歯ブラシと併用して お口スッキリ。 1日1回投与するだけ! その他のデンタルケア商品をチェック⇒こちらをクリック 参考 :「獣医歯科学と口腔外科」 LLL.Seminer(2002) http://www.eepet.com/dogs/sisyuubyou.html http://allabout.co.jp/gm/gc/44002/2/ photo by https://www.flickr.com/photos/ktylerconk/1965237151/

肥満ペットのカロリー計算術を伝授します!

  ペットフードに含まれるカロリーは、それぞれ違います。与えているペットフードに書かれている「グラム当たりのカロリー数」をチェックしましょう。 多くのペットフードには、「体重▲kgなら、■g与える」というような事が、書いてあると思います。ですが、これは体重の維持量です。体重を減らすための量ではありません。また、年齢、避妊去勢手術をしているかどうか、妊娠期や授乳期かどうかなどにより、与える量は変わってきます。式で表すと、下記のようになります。  1日に必要なカロリー数=(体重×30+70)×● ●に入る値は、避妊去勢済みの成犬なら1.6、避妊去勢済みの成猫なら1.2ですボディーコンディションスコア、BCS4の成犬なら1.4、BCS5の成犬なら1.0、BCS4の成猫なら1.0、BCS5の成猫なら0.8くらいで良いでしょう。 太っているからと言って、これ以上、値を減らすと弊害も出てきます。さて計算してみてどうでしたか?適正なカロリーを与えていましたか?   ボディーコンディションスコアをチェックし、ペットフードのカロリー計算を行い、適切に与えペットに健康な生活を送らせてあげましょう!   ================== 参考  http://www.e-petlife.com/iivc/pdf/dog_bcs.pdfhttp://www.petjpr.com/column/news-bin/Detail.cgi?rgst=00000070&CatgM=2 Photo by   https://www.flickr.com/photos/golf_pictures/2187242989/

年齢別ペットフードの心得!あなたは、いくつ知ってますか?

ペットフードを選ぶ時、皆さんは何を基準にしていますか? ペット年齢を意識して、選んでいる人は、多い事と思います。ペットフードは、「離乳前」「離乳期」「子犬または子猫期」「成犬または成猫期(未避妊未去勢)・妊娠授乳期」「高齢期・老齢期」といった具合に分けられていることが多いです。それぞれの年齢・時期に適したフードを説明します。      年齢別のペットフードの知識は合っていましたか?適正なフードを与え、健康を保てるようにしてあげましょう!もちろん、フードは年齢だけではなく、ペットの抱えてる疾病や問題などにも十分に配慮することが必要です。   参考資料http://inu-mall.com/shokuji/nenrei.htmlhttp://nekogohan.net/gohan_koneko.html photo by   https://www.flickr.com/photos/thenewbreed83/5949001685/

実は人間より大事?ペットの歯磨きを怠ると…

 ペットの歯磨き 単刀直入に言うと、ワンちゃんやネコちゃんにとって、歯磨きは必要です! 何故なら、ワンちゃんやネコちゃんは、人間よりも圧倒的に歯石が沈着しやすい動物だからです。人間は、歯垢が歯石になるまでに1ヶ月間と言われていますが、ワンちゃんネコちゃんの場合は、3日間です。一度、歯石になってしまうと、動物病院で全身麻酔をして、処置してもらわないと、とれません。歯石をそのままにしておくと、様々な歯周病の原因となります。まだ歯垢のうちに、歯磨きでキレイにしてあげるのが1番です。口の中は、普段からよく観察しておくと良いでしょう。「舌や歯茎は健康的なピンク色をしているか」「できものはないか」など。特にワンちゃんネコちゃんは毛があるので、「顔色を見る」という事ができません。そのかわりに「口の中の色を見る」のだと考えると良いでしょう。 【歯磨きの仕方】慣れていないワンちゃんネコちゃんは、歯磨きを嫌がります。初めから喜んでやらせるコは、まずいないのが普通だと思ってください。  ①マズルを触っても、嫌がらないように慣れさせます。それが出来ないコは、体を触ったり、押さえたりする事に慣れさせる事から始めます。「体中どこを触っても嫌がらない」という状態にしておく事は、歯磨きの事を除いても、大切です。それが出来ないと、何らかの病気になった時、早期発見が出来ません。※マズルは、動物の鼻口部を指します。 ②マズルを触れるようになったら、次は口の中を触ってみます。「舌や歯茎は健康的なピンク色をしているか」「できものはないか」など確認してみましょう。 ③口の中を触っても、嫌がらないようになったら、ガーゼを巻いた指で優しく磨きます。 ④最終的には犬用猫用の歯ブラシで、磨けるようにします。   【歯ブラシ・歯磨き粉歯】ブラシはいろいろと市販されているので、やりやすい物を選んでください。ゴム製の物、指にはめる物、人間の歯ブラシと同じような形の物などあります。 歯磨きをする際、歯磨き粉を使うのは、効果的です。どうしても、歯磨きが出来ない場合は、それを口に入れるだけでも、ある程度の効果は期待できます。こちらもいろいろと市販されているので、試してみて下さい。 また、歯磨きがどうしても難しい場合には、●水に混ぜて飲ませるだけで、歯をキレイに保つことが出来る製品●フードにふりかけのようにかけて食べさせるだけで、効果を示す製品●歯垢の沈着を防ぐフードやガム このようなものを試して、工夫しながら歯磨きをしてみて下さい。ただし、何らかの疾患で薬を服用している場合や療法食を食べている場合は、獣医師に相談してから使用した方が良いでしょう。  歯磨きの習慣は、出来るなら子犬子猫のうちにつけてあげるのが最良です。その時期を逸してしまった場合でも、根気よくやれば歯磨きできるようになります! ただし、既に歯周病が進行してしまっている場合、歯磨きは出来ません。歯茎に触ると痛いからです。その場合は、獣医師に相談してください。全身麻酔での歯石除去の処置で、ワンちゃんネコちゃんに、嫌な想いをさせない為にも歯磨きは普段から行い、口の中をよく観察しましょう。   photo by   https://www.flickr.com/photos/uberculture/6852653668/  

ちょっとマニアックな栄養素の話

ペットの栄養素 ワンちゃんネコちゃんに市販のペットフードではなく、手作りフードをあげたいという飼い主さんは、いるかもしれません。ですが、それはあまりオススメできません。手作りフードで、ワンちゃんネコちゃんの身体に必要な栄養素をすべて取り入れ、尚且つ、カロリーを必要な範囲内で収めるのには、膨大な知識と手間暇が必要だからです。現実に「手作りフードを与えている」というワンちゃんネコちゃんが動物病院に行くと、その多くにに栄養の偏りが見られるそうです。 ワンちゃんネコちゃんはドッグフード、キャットフードの「総合栄養食」と書かれたものと水を与えるのが、一番、栄養の偏りを防げます。「おやつ」と書かれたものを与えても良いのですが、それは主食にはなりません。おやつだけでは、やはり栄養が偏ってしまいます。また、ワンちゃんにキャットフードを、ネコちゃんにドッグフードを与えるのも、栄養の偏りを生じてしまいます。 人間はご存じの通り、雑食です。ワンちゃんやネコちゃんは、一般的には肉食の動物です。ただし、ワンちゃんはどちらかというと、雑食に近い肉食と言えます。 手作りフード派の方も、市販のペットフードを与えている方も、ワンちゃんネコちゃんに必要な栄養素を把握して、ペットの体調管理に役立ていただきたいと思います。   【栄養素の種類】ワンちゃん、ネコちゃんにとって必要な物、不必要な物とは? ●タンパク質身体の組織(筋肉・内臓・皮膚・被毛・血液など)の構成成分です。タンパク質は分解されると、ポリペプチドとなり、それはさらに小さくなって、アミノ酸となります。アミノ酸は全部で20種類もあります。これら全部を摂取しないといけないかというと、そうでもありません。自分の身体の中で合成できるアミノ酸もあり、それらは敢えて食物から摂取しなくても大丈夫です。ですが、自分の身体で合成できないアミノ酸は、口から摂取しなければなりません。そのアミノ酸の事を必須アミノ酸と呼びます。必須アミノ酸は動物種ごとに違います。 犬の必須アミノ酸は、イソロイシン、ロイシン、トリプトファン、トレオニン、フェニルアラニン、メチオニン、リジン、ヒスチジン、アルギニン、バリンです。猫の必須アミノ酸は、リジン、アルギニン、メチオニン、タウリン、トレオニン、トリプトファン、ヒスチジン、イソロイシン、バリン、フェニルアラニン、ロイシンです。タンパク質には、植物性と動物性がありますが、植物性タンパク質には、通常、アルギニン、タウリン、メチオニン、リジン、トリプトファンが含まれていません。動物性タンパク質には、犬猫にとってすべての必須アミノ酸が含まれています。そのため、ワンちゃんネコちゃんは「ベジタリアン」では、生きていけません。 ●炭水化物糖質が連なったものです。ネコちゃんでは、ほとんど必要としませんが、雑食性に近いワンちゃんの場合、ドッグフードにも、米や小麦、とうもろこしなどが含まれています。 ●脂質脂質はエネルギー源として、重要です。同量のタンパク質の2倍のエネルギーを供給してくれます。それだけでなく、脂肪酸や脂溶性ビタミンの供給源にもなります。 ワンちゃんの必須脂肪酸は、リノール酸です。リノール酸は、すべての動物で必要とされる脂肪酸です。リノール酸は動物性脂肪や植物性油のほとんどに含まれています。リノール酸はネコちゃんはリノール酸に加えて、アラキドン酸も必須脂肪酸に含まれます。アラキドン酸は、動物性脂肪の中にしか含まれません。  ●ミネラルミネラルは、カルシウム、リン、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、亜鉛、ヨウ素、銅などです。ミネラルは身体の生理機能を正常に保つために必要です。バランス良く摂取する事が必要で、多すぎても害になります。 ●ビタミンビタミンも、身体の生理機能を正常に保つ働きを持っています。脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンに分けられます。人間で必須となるビタミンCは、ワンちゃんネコちゃんでは、体内で合成できるため、必須ではありません。     このように、膨大にある必要な栄養素を理解し、ワンちゃんネコちゃんの体調も把握して、手作りフードだけで、体調管理をするのは非常に難しいです。手作りフードだけでという場合、市販のフードだけの場合、いずれにしても栄養の偏りが無いか、栄養不足や過多から病気になっていないかを、定期的に検査を受けてチェックが必要でしょう。   参考:ストライヤー生化学 東京化学同人 (1996)http://www.peppynet.com/library/archive/html/o0105_2.htmlhttp://www.necozanmai.com/nekoiku/eiyoso.html   photo by  https://www.flickr.com/photos/mr_t_in_dc/3186729628/  

ペットの虫歯

虫歯とは? 口内の歯垢の中にいる虫歯菌が酸を出し、その酸が歯を溶かす事によって、起こります。 虫歯菌の出す酸は、まず歯の一番外側にあるエナメル質を溶かします。この状態では、痛くありません。次に虫歯菌の出す酸は、象牙質を溶かします。この状態では、人間の場合、冷たい物や熱い物を食べた時に染みますが、動物の場合、そういう物をあまり食べないので、ほとんど痛みはないだろうと考えられています。その次は、歯髄が溶けます。これは神経です。この状態まで進行すると、ズキズキと痛みが出てきます。さらに進行すると、激しい痛みが伴い、膿が出てくる事もあります。 動物の虫歯野生動物は、通常、虫歯はほとんどありません。その理由は2つ考えられます。まず1つは、野生動物は虫歯菌が摂取する炭水化物や糖分をあまり飲食しないという事。もう1つは、野生動物が歯をダメにしたら、‘死’を招く事になるからです。実際、固い物を噛んだり、獲物を捕らえる時に強く咬み過ぎたりして、歯を欠けさせてしまったような場合は、野生動物でも虫歯になります。そうなってしまうと、肉食動物であれ、草食動物であれ、長くは生きられないと言われています。 ペットも、一昔前までは虫歯は滅多にないと言われていました。しかし、最近はペットにも虫歯はあるという事が、わかっています。   【ペットの虫歯の原因】ペットの虫歯の第一の原因は、人間の食べ物を与えられる事です。カワイイからと言って、人間と同じ物を与えてはいけません。虫歯だけでなく、歯周病や糖尿病、腎疾患など、他の病気の原因にもなってしまいます。また、ペット用の食べ物でも、おやつ類は炭水化物が多く含まれている事があります。ペット用であっても、おやつの与えすぎは、虫歯の原因になるので、注意が必要です。   【虫歯の予防と対策】 虫歯になってしまった場合、その治療には全身麻酔が必要となり、ペットの身体に大きな負担となってしまいます。出来る限り、虫歯は未然に防ぎましょう。現在、ペットの虫歯治療はかなり進化してきていて、最近では犬専門の歯医者さんも登場するようになりました。獣医師の監督のもと、人間の歯科医師が施術にあたるというスタイルです。かなりの高額医療になりますが、犬の義歯も可能になってきています。一般の動物病院でも、ただ悪い歯を抜くだけと言った治療は、少しずつ変化してきています。勿論、進行した虫歯は抜くしかありません。ですが、軽い段階の虫歯なら、削るだけで済む事もあります。しかし、虫歯はならないに越した事はありません。ペットの虫歯には、充分に注意しましょう。  歯石の除去は歯磨きでは出来ませんが、虫歯菌の温床となっている歯垢は歯磨きで除去する事が出来ます。日頃から歯磨きの習慣をつけておく事は、歯周病予防だけでなく虫歯予防の観点からも大切です。   参考資料 :「獣医歯科学と口腔外科」 LLL.Seminer (2002)http://www.denchan.jp/qa_new/ha_sikumi.htm   photo by  https://www.flickr.com/photos/ztephen/3739595875/  

ペットのフードアレルギー

 アレルギーとは アレルギーというのは簡単に言うと、免疫機能の過敏反応です。免疫とは本来、自分の身体を守るためにあります。これが弱ると様々な病気に罹ってしまい、大変な事になります。ですが、それが過敏に反応し実際には退治しなくても良いものまで‘敵とみなし、攻撃するようになると、それも身体にとって、有害な反応として現れるのです。 【食物アレルギー】一般的な食物アレルギーの原因(アレルゲン)は、牛肉、乳製品、穀類(小麦・大豆・米)、鶏肉、卵です。食物アレルギーは、どの年齢でも現れますが、ワンちゃんネコちゃんでの好発年齢は1~3歳です。食物アレルギーでは、3ヶ月齢までの食生活が大事だと言われています。この頃に人間の食べ物をいろいろ食べていると、食物アレルギーになりやすいと言われています。   【アレルギー症状】食物アレルギーの症状には、下痢、嘔吐、皮膚炎、外耳炎などです。ひどい場合には黒い便が出る事もあります。これは胃酸で変色した血液が混ざった便です。食物アレルギーによる皮膚炎は、口のまわりを中心とした顔に出やすいのですが、全身のどこにでも出てきます。舐める、掻く、噛むなど、痒みに伴う動作を示し、脱毛や発赤が認められます。 食物アレルギーの診断は、かなり時間のかかるものです。血液検査である程度の目安はつきますが、それから、「除去食試験」「負荷試験」をしなければ、確定診断には至りません。   ●除去食試験とは、上記に挙げた一般的な食物アレルギーのアレルゲンを取り除いたフードや、アレルゲンとなるタンパク質を加水分解してアレルギーを起こさないようにしたフードを与えるといったものです。これには12週間ほどかかります。これで、症状が出なくなったら、食物アレルギーと言えます。ただし、これは口で言うほど、簡単なものではありません。決められたフード以外、何も与えてはいけないのです。家族の誰かが「少しくらいいいだろう」と、ほんのちょっとでもおやつを与えたら、除去食試験は失敗してしまいます。飼い主さんも忍耐強く頑張らないといけないのです。↓除去食試験で食物アレルギーであるとされたら、次に負荷試験を行います。↓●負荷試験とは、アレルゲンになりそうな食材をわざと与える事です。これは1つずつ行います。例えば、まずは牛肉を与え、大丈夫だったら、次は鶏肉、これも大丈夫だったら、次は卵、といった具合です。これも何週間もかかる試験です。 手間と時間はかかりますが、これで食物アレルギーのアレルゲンを特定できます。アレルゲンが特定できたら、それを与えないようにする事で、アレルギーの症状を防ぐ事ができます。   食物アレルギーは、獣医師も診断するのが難しい病気です。例えば、「長引く下痢を、ずっと下痢止めや整腸剤だけで治療しているのに治らない。実はそれは食物アレルギーだった」という場合もあります。 「食物アレルギーかな?」と思ったら、自己判断せず、必ず動物病院を受診しましょう。     参考資料:最新家畜微生物学 朝倉書店(1998)http://www.royalcanin.co.jp/new/health_nutrition/health/food_allergy/   Photo by  https://www.flickr.com/photos/aon/2240802446/    

ペットの口臭

 ワンちゃんネコちゃんのお口は、ほとんど臭わないのが正常です。口臭を感じるという事は、それは何らかの病気のサインだと思ってください。    【口臭と病気】一番疑われるのは、歯周病です。これは日常的に歯磨きしていれば防ぐことが出来ます。歯石や歯垢の沈着で、臭いがしてきます。これは、歯の表面や舌に存在している細菌が、タンパク質や歯垢を分解した時に出来る揮発性イオウ化合物のためです。歯周病はひどくなると、歯肉の炎症ばかりでなく、歯を支える骨まで破壊されていきます。これも揮発性イオウ化合物’が、骨を溶かしてしまうためです。こうなると強烈な口臭がします。こうなってしまったら、日常のケアだけではどうしようもありません。動物病院で治療を受けるより他はありません。 ネコの口臭と病気ネコは口内炎が多くあります。口の中の粘膜や歯茎が腫れ、潰瘍を起こし涎を垂らします。ひどくなると、涎に血が混じる場合もあります。この場合も、強烈な口臭がします。口内炎は痛みが強いので、食欲も低下します。 ネコの口内炎は、様々な原因が考えられますが、ウイルス性の病気の影響、特に猫エイズのネコには、口内炎が多くみられます。今は猫エイズのワクチンが発売されていますから、猫エイズ予防には、ワクチン接種も考えてみると良いかもしれません。また、室内飼いで外猫ちゃんとの接触を避ければ感染も防げます。 ネコのウイルス感染(カリシウイルス、ヘルペスウイルスなど)も、口臭の原因となります。主な症状は鼻水とくしゃみで、ネコカゼとも呼ばれるこれらのウイルス感染症は、混合ワクチンで防げるので、ワクチン接種を考えてみてください。   その他の原因口臭の原因には。腎不全も挙げられます。ネコに多い病気であり、急性腎不全の結果、尿毒症になると、独特のアンモニア臭がします。また慢性腎不全は、口内炎を起こしやすくし、やはり口臭がします。腎不全では、食欲低下、嘔吐もよく見られます。急性腎不全では尿は減り、慢性腎不全では反対に尿は増えます。口臭がしたら、腎不全でないかも疑うことが必要です。また、口の中や胃や腸、肺などにガンが出来ていても口臭はします。   このように、口臭は様々な病気が原因となって起こります。口臭は甘くみず、しっかりと原因をつきとめ治療しましょう。   参考http://www.petjpr.com/column/news-bin/Detail.cgi?rgst=00000114&CatgM=8http://www.petwell.jp/disease/cat/symptom/sy-koushuu/http://www.petwell.jp/disease/cat/symptom/sy-koushuu/    photo by  https://www.flickr.com/photos/oprior/71962353/  

異物を誤飲してしまったら?

犬・猫の誤飲とは ワンちゃんネコちゃんが摂取してはいけない物は、多数あります。例えば、ネギ類、チョコレート、タバコ、殺鼠剤、殺虫剤、除草剤、車の不凍液、人間用の風邪薬(アセトアミノフェン)などです。 これらのような物をペットが、誤って摂取してしまった場合、どうすれば良いか?出来れば、大至急、動物病院に連れて行くのが一番です。ですが、どうしてもその時間にすぐに診てくれる病院が見つからない場合、応急的な処置法をご紹介したいと思います。   <応急処置>まず、毒物を摂取してしまった場合は、早急に吐かせる事が肝心です。動物病院では「食塩を大量に摂取させた上で、水を飲ませる」「‘トラネキサム酸’という薬剤を大量に静脈注射する」「オキシドール(過酸化水素水)を飲ませる」などの方法をとります。 トラネキサム酸は、美白効果のある化粧品などにも含まれている物質ですが、さすがにこれを使うわけにはいきません。一般家庭で選択できる方法としては、食塩かオキシドールになるでしょう。 ●食塩は、小型犬では大さじ1杯程度、大型犬では6~7杯程度を、口を大きく開いて舌の奥の方に置き、飲ませます。そうすると、喉が渇いて、大量の水を飲み、嘔吐します。ただし、確実に吐いてくれるとは限らない上、この方法は腎臓に負担をかけます。腎臓に持病のあるコには使えません。 ●オキシドールの場合、体重10㎏前後のコなら、だいたい10~12ml程度を飲ませます。オキシドールですが、これは薬局やドラックストアで簡単に手に入ります。オキシドールは胃に達すると、胃液と反応して泡立ちますから、それが刺激になって、嘔吐します。前述の量を飲ませて10分程度様子を見ても、まだ嘔吐しない場合は、同じ量をもう1度飲ませる事が出来ます。この方法は、食塩を使う方法より、腎臓に負担をかけません。ただし、胃が荒れるので、しばらくはムカツキが残り、再度、嘔吐するかもしれません。  上記の方法で、嘔吐できたとしても、やはり動物病院には受診する事をオススメします。     photo by  https://www.flickr.com/photos/mmoosa/3153777171/