ペットの飼い主さんは、ペットに起こりうる病気をどの程度ご存知だろうか?
犬猫は人間より、嗅覚や聴覚が秀でているので、多少目に不調があっても臭いを頼りに、音を頼りに行動、歩けたりしてしまう為、目の病気の早期発見がしづらいのではないだろうかと心配になってしまう。人間でも気づいた時は進行してしまってることが多いという「緑内障」この目の病気はペットにも起こるのだろうか?
- 緑内障はペットにも起こるの?症状は?
人間と同じように緑内障は犬、猫にも発症します。緑内障は眼圧(眼球の内部の圧力)が高くなることによって視覚障害を起こす病気で、急性に発症する場合と慢性的に進行する場合があります。
急性緑内障は、様々な理由により急激な眼圧の上昇がおこり、眼(白眼)に強い充血が見られ、瞳孔が開いたままの状態になったり(散瞳)、角膜が浮腫を起こして眼が青灰色に濁ったりします。人と同様に痛みから、眼瞼(まぶた)が痙攣したり、涙の量がふえたり、顔周囲を触られるのを嫌がったり、といった症状が現れます。
急激な眼圧上昇はなくても、通常より眼圧が高い状態のままで経過すると、眼球が以前より大きい状態になったり(牛眼)、角膜に裏からひびが入ったようになります。このような段階では、視神経や網膜が大きなダメージを受けて、すでに視覚が低下あるいは喪失している可能性があります。また、痛みにより食欲・元気の低下などが見られることもあります。早急に治療しなければ視覚を失う恐れがあります。
- 緑内障の原因は?
眼球内には、角膜と水晶体の間に眼房水という液体があります。この液体は常に産生と流出を繰り返し、一定の量を保っています。緑内障は先天的または後天的な要因から、眼房水の流れが障害されることが原因で、眼圧の上昇が起こり、その結果、網膜や視神経が圧迫され視覚障害が引き起こされます。
原因としては他の病気をともなわず、先天的・遺伝的な要因から生じる原発性緑内障とブドウ膜炎、水晶体脱臼といった他の眼の病気から二次的におこる続発性緑内障の二つにわけられ、また犬猫の場合、白内障の末期から緑内障へと移行する例も知られています。
原発性緑内障はシーズー、マルチーズ、アメリカン・コッカー・スパニエル、ビーグル、柴犬、チワワといった犬種に多く見られます。猫の緑内障は、原発性緑内障はまれで、多くは続発性緑内障です。犬と同様にブドウ膜炎、水晶体脱臼などが原因でおこりますが、猫伝染性腹膜炎(FIP),猫白血病ウイルス(FeLV)感染症やトキソプラズマ症が原因で発症します。
- 緑内障の治療と予防は?
緑内障のことで一番理解していただきたいことは、一度発症してしまうと進行していく病気であるということです。そして早期発見早期治療することが大事な病気であるということです。しかし動物の場合は、飼い主が初期の変化に気づくことは少ないので、ある程度経過してから受診されることも多く、既に視力を消失している状態の慢性緑内障であることが多いのが現状です。
動物病院では人の場合と違い治療法は、急性緑内障と、慢性緑内障で治療の目的を分けて対応せざるを得ません。急性の場合(視覚ある場合)は視覚の温存、慢性の場合(視覚が無い場合)は疼痛の緩和を目的に治療します。
治療のポイントとしては現在の状態からの進行をできる限りくい止めるために、眼圧を低い状態にコントロールすることが重要になります。眼圧をコントロールする方法として点眼薬や内服薬などによる内科的治療やレーザー治療などの外科的治療があります。しかし、視覚が完全に喪失し目に痛みが伴う場合では、眼球摘出手術、もしくは義眼インプラントが適応されることがあります
緑内障は、具体的な予防方法がないが現状です。しかし、早期発見することで病気の進行を抑えられる場合があります。したがって原発性緑内障を起こしやすい犬種は、定期的な眼の検査を受けることをお勧めします。その他の犬種も、他の眼の病気で緑内障が発症することがあるので、眼に異変を感じた場合(眼が充血している、眼の大きさが違うなど)は、できるだけ早めに診察を受け適切な治療をするようにしましょう。
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